- 2024年10月03日
りそなを初のタイトルパートナーに迎えたBリーグに期待してほしい
※本記事はNumber PLUS「Bリーグ2024-2025公式ガイドブック」の内容を掲載したものです。Bリーグは昨季、ポストシーズンを含むリーグ全体で歴代最多の入場者数451万5851人を記録し、ますます盛り上がりを見せている。そんな中、2024-25シーズンからのタイトルパートナーにりそなホールディングスが決定した。りそなグループとBリーグはなぜ共鳴し、どのような未来を共に作っていくのか。南昌宏社長と島田慎二チェアマン、2人がその思いを語った。

南:私はもともとスポーツを観るのが大好きで、Bリーグの試合も何度か観戦させていただきました。昨季のファイナルも島田さんとご一緒させていただいたのですが、躍動感ある選手たちのプレーはもちろん、会場の一体感や熱気が素晴らしかったですね。
りそなグループは今季からBリーグのタイトルパートナーになりました。そこに至るまでにどのような経緯、そして思いがあったのでしょうか。
南:昨年、2003年のりそな再生のスタートから20年の節目の時を迎えました。名実ともに再生から新たな挑戦に向けたギアチェンジを図るタイミングで、「金融+で、未来をプラスに。」というグループパーパスを掲げ、改めて、国内リテールのフロントランナーを目指すという決意を社内外に示しました。そのような中でグループ3万人の従業員が仕事を超えて一つになれるもの、我々が新しいチャレンジに向かう一つの象徴になるようなものを探していたところ、Bリーグがタイトルパートナーを探していることをお聞きしました。そして、Bリーグが、変革や挑戦をキーワードに困難な道を乗り越えて今日を迎えたことや、地域の活性化や地域創生に対して強い思いを持っていることを知りました。まさに、りそなグループと共鳴する部分であり、親和性の高さを感じました。長く一緒にやらせていただく上で、こうした感覚は重要なポイントだと考えていました。
最大の決め手となったのは。
南:島田チェアマンとお会いしたことです。一言で言うと、シンパシーを感じました。Bリーグが持つ志の高さや戦略性、その実行力には目を見張るものがありますし、学べるものがたくさんあると感じました。また、我々の個人ビジネスは比較的高齢の方の比重が高く、今後を展望する上で、これからを担う若い世代や女性の方々との接点をいかに拡充するかが重要なテーマの一つとなっている中で、Bリーグのファン層は若い世代や女性も多く、ビジネス面でも非常に魅力的だと考えています。
島田:ビビッと来たと言ったら失礼かもしれませんが、私も長年ビジネスの世界で生き、いろんな経営者の方とお話をする機会が多々ある中で、南社長のお話にはグッとくるものがありました。バスケ界も苦難の時代が長く、ようやく100年越しの想いが結実したフェーズに突入したところなんです。そういったタイミングも似ていると感じますし、地域軸や未来に対する世界観など、共通項が非常に多い。7月の会見でも話をしたんですが、勝手ながら私は相思相愛、根にある志が同じ同志のように感じています。
島田:ちょうど私も南社長もコロナ禍で一番大変な時期に就任し、少しずつ光明が差してきた過程を共に歩んできたような感じですね。トップに立つ覚悟やリスク、未来を描いて“なんとかしなければいけない”というパッションといいますか、背負っているものは、南社長と話をするなかで共感する部分は多かったと感じています。
南:私は2020年4月1日に就任していますが、その一週間後には、国内で初めて、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されました。お客さまの引継ぎやご挨拶もほとんどできないまま、人の移動や交流が一気に止まったということです。これからどうやって運営していくのか。私もそうでしたが島田チェアマンも悩まれたと思います。そういった苦難をともに乗り越えてきたという意味では、まさに「同じ釜の飯を食った仲間」と言える2人なのかもしれません。ただ、苦しい局面を乗り越えたからこそ、新たな気づきや学びもあったし、大切なものを再確認することもできたと思います。今回素晴らしいご縁をいただいたので、さらに大きく飛躍するための礎にできたらいいなと考えているんです。
島田:本当にありがたい言葉です。Bリーグは今、世界でも類を見ない改革を行っていますが、それが成長の兆しを見せ始めています。これから野球、サッカーに追いつくという観点のみならず、日本社会でさらに必要不可欠な存在価値を生み出し、スポーツ業界に捉われず、社会的意義を持った産業として存在すると決断して突き進んでいる中で、こうしてシーズンタイトルパートナーとして未来共創できることは本当に心強い限りです。
日本全体の活性化…Bリーグがその1つの起爆剤に
Bリーグは競技の発展や事業の拡大を目指すだけでなく、日本の未来を担う若い世代に希望を与え、社会全体をより活力あるものにしていく「感動立国」を発表されました。
南:「感動立国」という言葉を聞いた時に、まず“やられたな”と思ったんですよ(笑)。
島田:本当ですか?(笑)
南:すごくいいネーミングですよね。改革を実行するときには大きな旗印が必要です。その旗の下に志を共有する人たちが集まり、繋がり、新しい化学反応を起こしながら変革は進んでいくと思います。「構え」がいいなと感じたんです。我々も「JOIN THE HOPE ワクワクできなきゃ、未来じゃない。」をシンボルワードにしていますが、これはりそなグループのパーパスである「金融+で、未来をプラスに。」に繋がるものです。
最近の日本は、少し元気をなくしているような気がしています。もう一度、今が楽しいとか、未来がおもしろいと、多くの人が感じることが活性化につながっていくと思います。それぞれの地域が特性や個性を生かしながら輝きを放ち、それらが繋がることで日本全体が明るくなる。その一つの起爆剤がスポーツであり、スポーツが持つ力なのではないかと思っています。だからこそ、我々もBリーグ、クラブの方々、ファンの皆さん、そして「感動立国」という言葉に共感された多くの地域のスポンサー、自治体の方々などとしっかりと対話させていただきながら、みなさんと一緒にBリーグを盛り上げていきたい。同じ希望や夢を持って集まり、繋がる。そして新しい価値を生み出す。それをみんなで一緒に体現していくことができれば、これほど素晴らしいことはないですよね。
島田:りそなグループの取り組みはBリーグが発表した「感動立国」に近いものがあると感じています。ワクワクしないと未来じゃないというのは本当にその通りで。未来のキッズにいかにリーチするか、それを継続的に生み出していく唯一無二のアプローチや、難しい社会構造などの影響で、なかなか未来を描けない今、キッズたちがワクワクできるような未来は大人が描かなければなりません。そんな思いで「感動立国」を作ったんですが、そのコンセプトはりそなグループが大切にされているものと近いと思っています。まさに共感、共鳴、同感ですね。
南:ボランティア活動団体「Re:Heart倶楽部」による活動を行っていて、2011年東日本大震災後には被災地植樹プロジェクトを立ち上げ、全国の幼稚園・小・中学校で育てた苗木を植樹しました。また、2005年からは「りそなグループキッズマネーアカデミー」を展開し、各営業店が地域の皆さんと一緒になって小学生のお子さんに分かりやすい形で金融教育を行っています。すでに4万6000人を超える卒業生の方がいますが、その卒業生が、時を経てりそなグループに入社されたんです。うれしかったですね。
すごいご縁ですね。
南:8月にはアルバルク東京の選手の方に参加いただき、金融経済教育とバスケがコラボした新しい形の「りそなグループキッズアカデミー」も実施させていただきました。Bリーグとりそなグループがつながることで、これまでになかった新しい価値を今後も提供できるのではないかと思います。さらに、これからBリーグとともに歩むプロセスのなかで、見える世界もあると思います。そういった意味でも、我々は本当にワクワクしているんです。
島田:りそなグループさんが継続的にやられていることもあるでしょうし、これから組んでいろいろなイベントをご一緒することも増えると思います。すでに各クラブが地域で様々な社会貢献活動を行っていますが、そのあたりのイベントなども少しご覧いただきながら、「この取り組みであれば一緒にできる」など、ジョイントさせていただく機会を増やしていきたいですね。
「アリーナ、うちも作ろうと思っているんです」
今季で9シーズン目となるBリーグですが、各クラブが地域にしっかり根付いている印象も強いです。
島田:会場に足を運ぶ方が増えたとか、スポンサーの数が増えた、スクールの子供の数が増えたなど、表層的に見える数字はもちろん、それだけではなく空気感が変化しています。Bリーグはオーナーや親会社の支援に依存せずに独立独歩生きていくことが経営の危機感であり、その本気度がステークホルダーの皆さまにも伝わり、価値の向上につながっている。その熱量が昨今のバスケ界の盛り上がりの風を受け変化を見せています。2020年頃は挨拶に伺っても「こんな時にアリーナと言われても困ります」というような温度感でしたが、今は、「アリーナ、いいですね!」「うちも作ろうと思っているんです」という風に変わってきているんですよ。
南:アリーナを核とした地域の活性化は、大きな可能性があると考えています。そういった構想力は非常に重要で、そこで我々が持つ金融の機能をあわせて使っていただくことで、実はこれまでにない広がりや深みを出すことができるのではないかと感じています。我々のビジネス展開の中でも、お役に立てるところがたくさんあると思いますし、Win-Winの関係になれると確信し、ぜひ一緒に新しい世界観を築いていきたいですね。
島田:本業であるファイナンスの部分はもちろん、金融テクノロジーもありますからね。アリーナは南社長がおっしゃる通り、単なる箱ではなく、街づくりの起点や地域活性化のシンボリックな場所になっていく。そういった面でご一緒できる枠組みは多くなると思いますし、ぜひ連携していきたいですね。
南:今回のタイトルパートナー就任を受けて、社内の士気も上がっています。実は、社内にバスケットボールチームが誕生したんですよ。人は一歩踏み出して新しい場所に立ってみると、これまでとは異なる何かを感じて、新しい挑戦が始まります。そうした意味でも今回のタイトルパートナー就任は、りそなグループにとって大きな出来事だったと思います。
島田:りそなグループのみなさんには、「Bリーグもりそなグループの一員」くらいの感じで捉えていただけたらうれしいですね。そういった一体感が作り上げられたらと思っています。また、今回、同じ理念、共通項を持ち、パートナーシップを結んだことはスポーツ界に留まらず社会に大きなインパクトを与えました。これをきっかけに様々な取り組みを行うことはもちろん、りそなグループという心強いパートナーを得て、我々は大きな信用、信頼を得ました。その信頼感を持って、さらに地域社会やキッズをはじめ、色々な方々と向き合って距離を縮めていきたいと考えています。その盛り上がりの中で波及できるものはお互いにWin-Winになれるようにポジティブに最大限活用していきたいですね。
南:ご縁あって、今回Bリーグの大きな輪のなかにジョイントさせていただいたことで得られる効果は計り知れません。私自身もワクワクしています。まずは、りそなグループ全体でBリーグを全力で応援していき、チームやファンの皆さん、Bリーグの理念に共感されたスポンサーの方々、自治体の皆さんなど全ての関係者の方々と深い絆を結ばせていただくことが出発点です。そして、Bリーグとともに、新しい歴史を作りに行きたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

- 南 昌宏MASAHIRO MINAMI
- 1965年6月6日生、和歌山県出身。1989年埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)入行。りそなホールディングスグループ戦略部長を経て、2017年より執行役として店舗やアプリの戦略を管轄するオムニチャネル戦略を担当。'20年4月より現職
- 島田 慎二SHINJI SHIMADA
- 1970年11月5日生、新潟県出身。2001年ハルインターナショナル代表取締役社長に就任。'12年千葉ジェッツふなばしの代表取締役社長、'19年から千葉J会長、'20年7月よりBリーグチェアマンを務める