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株式会社りそなホールディングス 取締役兼代表執行役社長兼グループCEO南 昌宏の写真
CEOメッセージ

「リテールNO.1」
実現への加速

取締役兼代表執行役社長兼グループCEO 南 昌宏

はじめに

平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 長らく世界に大きな影を落としてきた新型コロナウイルスは、国内でも出口に向けた動きが本格化しています。一方、地政学リスクは高まり、グローバルにインフレが加速するなど、引き続き、不確実・不透明な事業環境が継続しています。さらに、メガトレンドとしてのデジタルやデータ、脱炭素をはじめとするサステナビリティという大きな潮流がもたらす長期的な構造変化と、パンデミックの発生など数十年に一度というイベントが交錯するなかで、お客さま、地域社会のこまりごとは、より一層多様化、高度化、複雑化が進んでいくものと考えています。 こうした変化の時代に、りそなグループが、お客さま・株主の皆さま、地域社会などすべてのステークホルダーの皆さま方とともに、さらなる成長を続けるためには、私たち自身が恐れることなく果敢に挑戦し、いち早く変化に適応していくことが重要と考えています。

20年の節目

今年、りそなグループは、2003年の預金保険法に基づく公的資金の注入、そして「りそな再生」のスタートから20年の節目の時を迎えています。当時在籍していた社員はすでに全体の3割を切り、2003年以降に入社した世代から経営層が育ち始めています。聖域のないリストラを断行した集中再生期間からスタートし、「変革のDNA」のもと、これまでお客さまを起点とする様々な「りそな改革」に取り組んできました。こうしたなか、過去と現在、そして未来をつなぐ一つの節目にあたって、2003年を起点に、これまでの20年を振り返ることには、大きな意味があるものと考えています。 まず、時間がどんなに経ったとしても、私たちが、決して忘れてはならないこと、それは、この間、お客さま、株主さま、地域社会のご支援をいただき、りそなグループの今日があるということです。「これまでの感謝」と「強い覚悟」を持って、歴史を深く胸に刻み込むとともに、様々な学びをりそなグループのDNAとして正しく伝承し、さらなる成長に活かしていくことが、今を生きる全役職員の責務だと認識しています。加えて、当時4,000名を超える仲間を失うなかで、困難な局面をともに乗り越えてきた、役職員一人ひとりの努力が、グループの再生を支えてきたという事実も、しっかりと記憶にとどめておきたいと考えています。

ガバナンスの重要性

当時、企画部門に在籍し、りそなショックから、りそな改革、公的資金返済の実務を担ってきた私自身が感じてきたことにも、少し触れておきたいと思います。りそなショックの真因は、突き詰めれば、コーポレートガバナンス、リスクマネジメントの問題です。 「銀行は、たとえどんな状況にあっても、自らの意志をもって凛として立ち続け、自立した経営を行うことができなければ、お客さまはもとより、誰一人として守ることができない。」だからこそ、大事なものを守るために、ガバナンスや企業倫理、コンプライアンス、リスクマネジメントという、経営の根幹を常に磨き続けなければならないということが、私にとっての最大の教訓です。だからこそ、「自立」とともに、自らを律する「自律」ということを、これからも大切にしていきたいと考えています。

変革のDNA

りそなショックとは、これまでの発想や慣習、成功体験から抜け出すことができず、大きな社会・産業構造の変化に適応することができなかった結果でもあります。企業は生き物であり、変化に適応し続けることが持続的成長の源泉です。時代の大きな転換点にあって、これからも、地殻変動は起こり続けます。いずれ社会・産業構造が変化し、お客さまの金融行動が変わり、慣れ親しんだゲームのルールも変わっていきます。こうした前提に立って、常に健全な危機意識を持つこと、決して現状に安住しないこと、予定調和的な発想を捨てることが肝要です。だからこそ、「お客さまを深く知る」「全体を俯瞰する」「長い時間軸で考える」「変化に寄り添う」「外に学んで自ら考える」「そして果敢に行動する」といった当たり前のことを、企業風土として根づかせる必要があります。お客さまに新たな価値を提供するためには、りそなグループ自身がいち早く変化に適応することが不可欠であり、それが、結果として、お客さまを守り、りそなグループの持続的成長にもつながっていきます。 これまでの常識や価値観に過度にとらわれることなく、変革のDNAを武器に、これからも恐れることなく変化に挑み続ける金融グループでありたいと思っています。

再生の過程で積み上げた経験値

手探りでりそな再生への道を探しながら、一部では不可能といわれた公的資金(ピーク時3兆1,280億円)の返済を2015年に実現したことを、グループの貴重な経験値として風化させることなく、次世代に引き継いでいくことも、現経営陣の大事な責務です。こうした経験値を、りそなグループをさらに前に進めていくための、そして逆境をチャンスに変えていくための「力」に変えていきたいと考えています。

2023年新中期経営計画「リテールNo. 1」実現の加速、長期日旬「リテールNo. 1」、パーパス「金融+で、未来をプラスに。」/お客様の喜びがりそなの喜び

「パーパス」の制定と理念体系

「パーパス」の制定と理念体系

世の中は、歴史的な転換点にあり、これからの10年はグループとしての「真の適応力」が試される局面だと認識しています。こうしたなかで、名実ともに「りそな再生」のステージから、「リテールNo. 1」の実現を目指す新たな挑戦に踏み出します。 答えのない時代を勝ち抜いていくためには、グループの全役職員が拠って立つものを今一度明確化し、全員で深く共有する必要があると感じてきました。今回のパーパスを含めたグループ理念体系の再整理は、りそなグループが新たなスタートラインに立つための前提でもあります。 まず、新たに制定したパーパスは、お客さまや社会に、「どのように貢献するのか」ということを示した、お客さま・社会起点の「志」であり、それを実現するための我々の「覚悟」です。今般、パーパスとして、「金融+で、未来をプラスに。」を掲げました。これは、りそなグループの根底に流れる想いをあらためて言語化したものです。お客さまや社会のニーズに寄り添い、これまでの金融の枠にとどまらない豊かな発想で、様々な価値を届けていくこと、そして、社会がどのように変わっても、安心や希望に満ちあふれたワクワクする未来を、ともに創っていきたいという強い想いを込めています。 一方、経営理念は、社会の中で私たちが、「どうありたいか、何をするのか」を示した企業・経営者起点の「信念」です。これまで大切にしてきた経営理念は、「りそなショック」からの学びをグループのDNAとして伝えていくために、強い意志を持って一言一句変えることなく次世代へ引き継いでいきます。 パーパスと変わることのない経営理念、そして、「リテールNo. 1」を掲げる長期ビジョンは、私たちが、苦しい時、迷った時に立ち返り、再び前に進んでいくための原点となるものです。

前中期経営計画の振り返り

2023年5月に、「パーパス」とともに公表した新中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)(以下、新中計)の説明に入る前に、前中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)(以下、前中計)について、少し振り返っておきたいと思います。 前中計では「レゾナンス・モデルの確立(Resonance:「共鳴」)」を掲げて、3つの柱、①既存ビジネスの「深掘」、②脱・銀行への「挑戦」、これらを支える③「基盤の再構築」に取り組んできました。コロナ禍の継続や世界的なマーケットの変調など、想定を超える厳しい事業環境下にありましたが、最終年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,604億円となり、中計の最終年度目標としていた1,600億円を達成して着地することができました。2021年4月に完全子会社化した関西みらいフィナンシャルグループ(KMFG)についても、トップライン、コスト両面からのシナジー効果の発現を通じて、りそなホールディングス連結への貢献利益も大きく拡大しています。また、りそなグループの課題の一つであった自己資本の拡充も進展し、CET1比率は10%に到達しました。ESGの観点から目標としていた「GPIF選定のESG指数(国内株)の全てに採用」され続けるとしていた目標も達成することができました。 一方で、株主資本ROEは足元7.66%まで回復したものの目標の8%には達せず、フィー収益比率、経費率目標も未達となっています。ただし、前中計の本丸と掲げていた収益・コスト構造改革については、コア収益が2020年度に12期振りに反転し、その後3期連続増益を達成するなど、着実に進展が図られており、新中計に向けて良い流れを継続しているものと考えています。

前中期経営計画の振り返り
  1. ※1 除く有価証券ポートフォリオ健全化影響
  2. ※2 親会社株主に帰属する当期純利益÷株主資本(期首・期末平均)
  3. ※3 国際統一基準・バーゼル3最終化ベース(完全実施基準)、その他有価証券評価差額金除き
  4. ※4 FTSE Blossom Japan Index、FTSE Blossom Japan Sector Relative Index、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数、MSCI 日本株女性活躍指数、Morningstar Japan ex-REIT Gender Diversity Tilt Index
  5. ※5 国内預貸金利益+フィー収益+経費

長期的な戦略の方向性と新中期経営計画

新中計は、長期的な戦略の方向性を「構造改革:コーポレートトランスフォーメーション(CX)」とし、10年後からのバックキャストを念頭に策定したものです。「リテールNo. 1実現に向けて、CXに取り組む最初の1,000日」と位置づけ、りそなグループの総力を結集し、未来志向での変革をスタートさせます。 まず、CXの必然性です。前中計から、あるいはそれ以前から言い続けてきたことですが、次世代リテール金融におけるNo. 1をより確かなものとするためには、これまでの収益構造と、それを支えている発想や既存の枠組み、コスト構造とのミスマッチを解消する必要があります。そして、それは、時代の変化を先取りし、構造的な変革を目指すものでなければ意味がありません。お客さまのこまりごとの解消に常にフォーカスしながら、グループとしての「稼ぐ力」の拡充や「稼ぎ方」の多様化を加速させます。コンサルティング能力を格段に高め、ファイナンス能力を向上させ、リアルとデジタルの一体化などを通じてビジネスのさらなる深掘を進めるとともに、インオーガニックを含む新たな挑戦を通じて次世代の収益ベストミックスを再構築していくということです。加えて、現行ビジネスを支えている発想や仕組み・仕掛け、業務プロセスやシステムを次世代のリテール金融を支える経営基盤へと移行していくことです。これが「これまで」と「これから」のミスマッチを解消していくためのCXです。 「CXに取り組む最初の1,000日」と表現しましたが、これは、変化のスピードが加速する時代に、りそなグループのすべての役職員一人ひとりが、1日という時間を大切にしながら変革にチャレンジしてほしいという想いを込めたものです。スピードは競争力であり、一日一日の微かな差の積み重ねが変革の成功確率を引き上げていきます。健全な危機感をベースに、日々、スピード感を持って変革に挑戦したいと考えています。 また、新中計は、新たなステージへの移行のタイミングでもあります。公的資金の完済から8年が経過し、資本の強化が進んだことで、名実ともに、「再生」のステージから、「リテールNo. 1」の実現に向けた新たな挑戦に向かう、ギアチェンジの時を迎えています。 新中計は、りそなグループが、「リテールNo. 1」の実現をより確かなものとするために、これまで以上にお客さまから必要とされ、社会に大きく貢献していくために、今まさに、グループとして取り組むべきテーマを再整理したものです。SX、DXの潮流なども見据えた「変化への適応」および「収益・コスト構造改革のさらなる加速」を図るべく、2つの柱、①「価値創造力の強化」と②「経営基盤の次世代化」を掲げています。

長期的な戦略の方向性と新中期経営計画

新中期経営計画の全体像

新中期経営計画の全体像

価値創造力の強化

深掘・挑戦

ここから、新中計における具体的な取り組みについて、少しご説明します。まず「価値創造力の強化」です。私たちが今後提供していくソリューションの中核は、「事業・資産循環」「社会構造転換」から派生する様々なニーズの解決ですが、一方で、お客さまのニーズを満たすためのソリューションは無限に存在します。もとより、お客さまのこまりごと・社会課題を起点にビジネスを考え抜き、イノベーションを掛け合わせることで、新たな価値を提供していくことが、りそなグループのサステナビリティ経営の根幹でもあります。これからも、従業員一人ひとりが「誰のどんな未来をプラスにするのか」を起点に考え続け、多様化・高度化・複雑化するお客さまのこまりごとを解決していくことに全力を尽くしたいと考えています。 そして、「中小企業向け貸出」「事業・資産承継」「キャッシュレス・DX」「資産形成サポート・年金・住まい」といったビジネス領域に力点を置きながら、オールりそなでの収益力強化に取り組んでいきます。

共創・拡大

これまでの金融の枠組みにとどまらない発想を起点として、外部の知見やスキルとの融合、テクノロジーやデータの利活用、グループのお客さま基盤を超えた取り組みなどを通じて、新たな可能性を探り続ける姿勢が不可欠です。そのためには、グループベースでのさらなる活性化はもとより、異業種や地域金融機関等との連携などを通じて、トータルとしての組織能力をいかに高め続けられるかという視点も重要な要素です。 こうしたなか、地域金融機関や異業種の方々、そして、その先にいらっしゃるお客さまとのWin-Win-Winの関係構築を目指す「金融デジタルプラットフォーム」の整備も大きく進展しています。資本活用が新中計の一つのテーマとなりますが、インオーガニック投資の拡充を含めて、「お客さま基盤」「経営資源」「機能」のさらなる拡充を目指したいと考えています。


価値創造力の強化

価値創造力の強化

経営基盤の次世代化

グループガバナンス

ガバナンスの重要性に対する考え方は、先にご説明した通りですが、新中計では、グループガバナンス強化とグループ連結運営のさらなる向上に取り組みます。①グループの厚いお客さま基盤(個人1,600万人、法人50万社)、②信託・不動産を含む多彩なグループ機能、③情報の有効活用という観点で見れば、グループが持つ潜在能力を、まだ十分に活かしきれていないと感じています。また、各グループ銀行の舞台裏の共通化も道半ばであり、いまだ非効率性を内包し続けている面も否めません。グループの総合力を結集し、より多くのお客さまに、より良いソリューションを提供していくことが、りそなグループの連結収益の極大化につながります。そして、間接部門やバックヤードの共通化を図り、業務プロセスの解体・再構築を早期に実現することで、お客さまのために考える時間、お客さまのために行動する時間の最大化を図るとともに、リテールに内在する高コスト性の打破を目指していきます。 同時に、お客さま本位の運営を徹底すること、お客さまを様々な脅威から守り、安心・安全なお取引を提供することが、リテール金融の礎であり信頼の源泉です。不透明・不確実な事業環境下にあって、攻めと守りのバランスがグループの持続的成長にとって不可欠であり、引き続き、リスクガバナンスのさらなる高度化に取り組んでいきます。

人的資本

お客さまに最高の価値を提供するのも、グループの持続的成長を支えるのも、そしてイノベーションを創造していくのも、当然ですが、すべて「人財」が起点です。そして、「人財への投資」は、新たな局面を迎えています。 今一度、グループの目指す姿や時代の変化も念頭に置きながら、人財の採用・育成の在り方、処遇水準なども含め、これまで以上に人財と向き合い、人財投資に積極的に取り組んでいきます。 新中計期間の組立てでは、3年間累計で新たに330億円の人財投資を計画しています。先行投資となりますが、次世代の競争力を考える時、今、なすべき重要な判断だと考えています。 また、りそなグループの人財が、多様なフィールドで活躍できる仕組みも整えていきます。前中計期間中には、専門性と多様性をキーワードに、20のコースからなる複線型の人事制度を導入しました。健全な危機感を持って、りそなグループ自らが変革を起こし続けられるかが今後の勝負を分けます。従業員一人ひとりが、自ら学び、自ら考え、そして、自ら行動する、そうした好循環を組織内にしっかりと根づかせていきます。従業員の自律的な成長を支援し、働きがいや働きやすさの向上を図りながら、「価値創造」と「Well-being」の持続的な好循環を生み出していきたいと考えています。

知的資本

新中計では、前中計から約1.5倍の水準となる1,200億円規模のIT投資を計画しています。DXを通じて、お客さま体験を変え、お客さまに新しい価値を提供するとともに、りそなグループのコスト構造そのものの変革を目指します。りそなグループは、今期も「DX銘柄2023」に選定されていますが、過去から非対面チャネルの拡充などデジタル分野での知見やスキルを磨いてきました。そして、いよいよ、新中計では、改革の本丸である伝統的な業務プロセスの解体・再構築に挑みます。人財投資と同様、先行投資となりますが、グループの持続的成長に向けて、決して先送りすることなく果敢に挑戦していきます。 また、リアルとデジタルの一体化の加速は、お客さま接点の改革であり、次世代リテール金融を支える根幹です。すべてのお客さまとデジタルでつながるなかで、深いコンサルティングをベースとする特別なリアルを提供していくことが、次世代リテール金融にとって欠かすことのできない流れです。法人分野も個人分野も、日常の金融については明らかにデジタルとデータへのシフトが加速していきます。一方で、難易度の高い金融ニーズを満たすためには、対面を中心とする深いソリューションの提供が不可欠であり、ここが最後の差別化の柱となっていくと考えています。こうした変化を支えるためには、グループ内に異なる組織能力をあわせ持つとともに、異業種を含めた外部の知見との深いつながりが極めて重要です。そして、異なるものとの融合が新たなイノベーションを生み出します。 新中計期間中の取り組みとして、リアル側では、コンサルティング力の質的・量的拡充、お客さま接点の強化、業務プロセスの解体・再構築を通じた経営資源の再配分に取り組みます。同時に、リアルとデジタルの一体化を前提に、地域に営業店がある意味をあらためて定義づけながら、グループベースでのチャネルネットワークのさらなる最適化を目指します。 デジタル分野においては、一つの通過点として、アプリDL数1,000万を目指し、専用回線・専用端末からの脱却も視野に、店頭でのグループタブレットの利用率をまずは50%まで引き上げます。加えて、法人向けの決済ソリューションなど、お客さまへの新たな価値提供を目指せる領域は、まだまだ広がっています。


経営基盤の次世代化

経営基盤の次世代化

資本マネジメント

資本の質的・量的拡充から本格活用フェーズへ

「資本の質的・量的拡充から本格活用フェーズへ」、これは、新中計におけるメッセージとして、お伝えしたいことの一つです。 2003年の公的資金注入以降、グループ最大の課題の一つとして、資本の質的・量的拡充に取り組んできましたが、前中計の最終年度となる2023年3月末に目標の資本水準(CET1比率※6「10%程度」)に到達しました。新中計期間においては、「CET1比率※610%台」での運営を意識しつつ、資本を「成長投資」と「株主還元」に戦略的に振り向けていきます。「成長投資」としては、「オーガニック」「インオーガニック」それぞれの領域で資本を活用しながら、さらなるリターンの向上を目指します。「株主還元」についても、一段階引き上げ、安定配当を継続しつつ総還元性向の水準として、「50%程度」を目指していきます。

数値目標/資本“活用”による“収益性向上”(資本がさらなる資本を生み出す循環構築)
  1. ※6 国際統一基準・バーゼル3最終化ベース(完全実施基準)、その他有価証券評価差額金除き
  2. ※7 親会社株主に帰属する当期純利益÷株主資本(期首・期末平均)

企業価値向上に向けて

当社のPBRは、0.6倍水準(2023年6月現在)にあります。株価は様々な要素が複雑に作用して形成されるものですが、PBRが1倍を大きく下回る現在の状況については、真摯に受け止めるとともに、私自身、忸怩(じくじ)たる思いもあります。PBR向上に向けては、ROEの向上、資本コストの低減、双方からのアプローチが不可欠だと認識しています。早期に改善を図るべく、記載の観点からの取り組みを強力に推し進めていきます。

PBR評価向上に向けて

新中期経営計画の主要経営指標

新中計の説明の締めくくりとして、私たちが目指す主要経営指標についてご説明します。計画最終年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,700億円、収益・コスト構造改革をさらに加速させながら、連結のコア収益については1,800億円、連結経費率60%台前半を目指していきます。なお、3年後も現行の金利水準を前提としています。 株主資本ROEについては、資本コストを上回る水準として、引き続き8%を目指します。資本マネジメント関連については、先にご説明した通りです。また、「持続可能な社会の実現」という観点から、「GPIF選定ESG指数(国内株)」のすべてに採用され続けることにもこだわり、前中計に続き目標として掲げています。


中期経営計画の主要経営指標

中期経営計画の主要経営指標
  1. 【2025年度前提条件:無担保コールO/N △0.05%、10年国債0.40%、日経平均株価28,000円】

サステナビリティ長期指標

新中計策定に合わせて、持続的な社会価値・企業価値向上への取り組みを加速させるべく、2030年度の達成を目指す「サステナビリティ長期指標」も設定しました。これまでの「サステナビリティ長期目標」に、「NEW」と示している項目を加えています。 1つ目は「価値創造力指数」です。法人・個人のお客さまへの幅広いソリューション提供を目指すための指標です。2023年3月末の1,050万件から、2030年度に倍増となる2,000万件を目標に、お客さまへの最適な価値提供に軸足を置く「リテールNo. 1」のソリューショングループの実現を目指します。2つ目は、2050年に向けた「投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロ宣言」です。2030年度の電力セクターにおける中間目標も、あわせて示しています。3つ目は、「Well-being指数」です。これは、従業員調査における「仕事・生活の充実度」のポジティブ回答の割合ですが、現在の「69.3%」から向上させていく目標としています。人的資本拡充に向けた取り組みを強化し、従業員が心身ともに健康で、仕事と生活の双方がより充実するよう、様々な工夫を重ねていきます。


サステナビリティ長期指標

サステナビリティ長期指標

おわりに

りそなグループは、2003年の預金保険法に基づく公的資金の注入、いわゆる「りそなショック」から20年の節目の年を迎えています。 これまで激動の20年を歩んできましたが、お客さま、株主の皆さま、そして地域社会をはじめ様々なステークホルダーの方々のご支援をいただき、りそなグループの「今日」はあります。 一つの歴史の節目にあたり、ご支援をいただいたすべての関係者の皆さま方に、心より深く御礼を申し上げます。 同時に、これから、私たちが取り組むべきことは、「りそな再生」から得た様々な学びを、「グループのDNA」として、次世代に正しくつないでいくこと。そして、この節目を機に、自らの強い意志で、「りそな再生」を乗り越え、第二の創業という強い覚悟を持って、「リテールNo. 1」の実現に向けた新たな挑戦を始めることだと考えています。 「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を決して見失うことなく、これからも、お客さまのこまりごと、社会課題の解決に全力を尽くす金融グループを目指してまいります。 皆さま方におかれましては、引き続き、りそなグループのさらなる挑戦に、変わることのないご支援、ご指導をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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