2026年4月にグループCFO兼グループCDOに就任しました。資本効率を意識した経営を徹底するとともに、データドリブン経営を推進し、りそなグループの持続的な企業価値向上に取り組んでいきます。CFOとして、成長投資・株主還元・財務健全性の最適なバランスを追求しながら、ROEや資本コストを意識した経営を徹底していきます。2026年3月公表の新たな中期経営計画では、各領域で「新たなカタチ」を目指しますが、財務領域では「資本創出の好循環を加速する資本マネジメント」を進めていきます。拡大する資本フローを戦略的に配賦し、規律ある投資を加速することで、創出された資本を次なる成長と株主還元へつなげるという好循環をさらに強化していきたいと考えています。
2026年3月期決算の振り返りと2027年3月期目標の組み立て
2026年3月期は、金利のある世界が定着し、日本経済が緩やかな回復基調を維持する一方で、地政学リスクの顕在化などにより、不確実性が一層高まる一年となりました。
こうしたなか、業務粗利益は19年ぶりの8,000億円超えとなる8,088億円(前期比+1,172億円)で、2003年のりそなショック以降での最高益となりました。そして、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比453億円増加の2,587億円となり、2013年3月期以来、13年ぶりに2,500億円超えを達成しました。ROEは前期比1.4%上昇し9.2%となっています。
堅調な資金利益、政策保有株式の売却進展、低位な与信費用などが計画比で利益を持ち上げたことなどにより、デジタルガレージ株式ののれん相当額償却対応に加え、中長期的な安定利収確保に向けた有価証券ポートフォリオの入れ替えなど、今後の経営基盤安定化に資する取り組みを実施しながら、ガイダンスを上回る着地をお示しすることができました。
2026年5月に公表した株主還元アクションについてもご説明します。2027年3月期の1株当たり配当金予想は、前期比8円増配となる年間37円としました。増配幅は、昨年の4円から倍増となります。加えて、上限350億円の自己株式取得枠の設定を公表しました。総還元性向目標「50%以上」に向けて、業績の進捗などを踏まえながら、今後もしかるべき対応を取っていく考えです。株主還元については、後段で補足します。
2026年5月に公表した2027年3月期の業績目標では、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比513億円増加の3,100億円、ROEは10%の大台到達を計画しています。金利上昇に依存するのではなく、貸出金残高の拡大やALM運営の高度化を通じた資金利益の成長に加え、フィー収益の着実な積み上げを図っていきます。株式等関係損益や与信費用などの臨時・特別損益の計画は、インフレ影響や地政学リスクの高まりなど不透明な事業環境を踏まえた前提のもとで策定しつつ、大幅な増益を目指します。金利環境の変化を追い風としながら、収益基盤そのものを強化していくことにより、持続的な利益成長を図っていきます。
新中期経営計画の収益の組み立て
次に、新中計における親会社株主に帰属する当期純利益について、計画期間3年間での増減要因をお示ししながらご説明します。新中計では、前中計最終年度である2026年3月期(2,587億円)から約1,300億円の増益となる3,900億円を目指します。これは、一時要因を除いたベースで、りそなグループ発足来の最高益となる水準です。
業務粗利益は、ALMの高度化の一環として、貸出金、有価証券の質・量両面からの拡充に加え、フィー収益の持続的増強を通じて、2,750億円の増益を見込んでいます。政策金利1%までの金利上昇影響として1,200億円程度を想定していますが、それ以上に金利上昇要因以外の自助努力によるアップサイドを織り込んでいます。
また、人的資本、ITへの先行投資を拡充する一方で、その果実を着実に取り込みながら、厳格なコスト運営の継続を通じて、まずはOHR40%台に、できるだけ早く到達したいと考えています。
円金利上昇時の収益影響の試算
今後、政策金利の上昇がさらに進んだ場合には、金利感応度の高い当社のバランスシートから、預貸金利益、有価証券利息を中心に、収益面でのプラス効果が見込めると考えています。
金融政策変更の時期・スピード・深度など変数が多いため、試算結果はその前提次第で大きく変化しますが、資産・負債の残高増減を考慮しない簡易試算に基づく参考値として、下図に、政策金利上昇時の業務粗利益への影響額(2024年3月期比)をお示ししています。
政策金利1%までの利上げ効果を完全に享受した場合の試算としては、累計で+2,300億円程度を見込んでいます。さらに政策金利が上昇した場合も、0.25%の上昇ごとに業務粗利益は600億円程度拡大するものと試算しており、仮に政策金利が1.5%まで上昇した場合には、ROE14%が展望できると考えています。なお、資産・負債残高の変動などは考慮していないため、さらなるアップサイドも見込めます。一方で、あくまでトップラインの感応度を一定の前提のもと分析しているため、インフレに伴う経費、ならびに与信費用の増加などは考慮していない点をご留意いただければと思います。
資本マネジメント
前中計より資本の本格活用フェーズに入っており、健全性を維持しつつ、成長投資と株主還元を拡充するという基本方針に変わりはありません。引き続き、企業価値の最大化に向け、拡大する資本フローを戦略的に配賦し、規律ある成長投資を加速します。
新中計では、総還元性向の目標について、従来の「50%程度」から「50%以上」とし、下限水準を明確化しました。加えて、目指すROE水準を引き上げたことを踏まえ、2026年5月にDOE目標を従来の「3%程度」から「3.5%程度」に引き上げました。目線を一段引き上げながら、安定的かつ持続的な増配に取り組んでいきます。
機動的な自己株式取得も引き続き実施していく方針です。今後の資本政策の柔軟性を考えれば、発行済株式数の水準は、まだ課題だと認識しています。引き続き、収益の拡大と発行済株式数の適正化を通じて、1株当たり純利益(EPS)の持続的拡大を図っていきます。
新中計における「資本アロケーションの考え方」をお示ししていますが、資本フローの拡大を踏まえて、資本活用のギアを一段引き上げていきます。図の左側が前中計期間中の実績、右側が新中計期間中のイメージです。新中計では1.1兆円を超える資本フローを活用し、前中計で大きく増加させたオーガニック投資は前中計と同規模で実行していくとともに、インオーガニック投資と株主さまへの還元については、それぞれ、大きく拡大させていきます。
政策保有株式の削減
当社は、2003年の公的資金注入以降の財務改革のなかで、他社に先駆けて政策保有株式の削減に取り組みました。2005年3月末までに取得原価ベースで約1兆円を削減し、その後もお客さまとの交渉を重ねてきました。現在は、2024年度からの6年間の計画(現計画)のもとで削減を進めています。そして、政策保有株式削減を通じて創出される資本を活用し、お客さまのこまりごと・社会課題の解決や、CX実現に必要な構造改革・基盤強化への取り組みを加速させていきます。資本の好循環による収益のアップサイドを源泉として、株主さまへの還元につきましても持続的に拡大できるよう取り組んでいます。
- 削減計画
(2024/5月公表) - 2030/3月末までに、2024/3月末比で簿価を3分の2以上削減
⇒ 連結純資産に対する時価残高割合を10%程度へ(20%水準には、最速で2028/3月末に到達・通過)
現計画では、2030年3月末までに、簿価残高を2024年3月末比で3分の2以上削減するとともに、連結純資産に対する時価残高比率を10%程度とすることを目指しています。2026年3月期は、326億円を削減し、2024年3月末からの2年間累計では、簿価ベースで672億円(25%)削減しました。計画比進捗率は38%と堅調に推移しています。一方、時価ベースでは2年間累計で縮減効果が2,600億円を超えましたが、残存部分の時価上昇影響が1,300億円以上となっており、ネットでの時価減少は1,256億円となりました。結果として、2026年3月末の連結純資産に対する時価残高比率は30%となり、同比率20%水準への到達・通過は、最速で2028年3月末を見込んでいます。引き続き、残高縮減を進めていきます。
企業価値向上に向けた取り組み
2025年度末には、PBR(株価純資産倍率)が1.3倍を超え、時価総額も約4兆円となりました。また、2026年5月には、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を通じて持続的に成長原資を生み出す力を高め、企業価値向上を実現する先進企業」として、「SX銘柄2026」に銀行業として初めて選定されました。引き続き、「ROEの向上」と「資本コストの低減」の両輪で取り組んでいくことが企業価値をさらに高め、市場評価としてのPBRの向上につながるものと考えています。
ROE向上の観点では、資本を有効に活用し、「収益性」「資産効率性」の向上を図っていきます。コア事業の成長によりRORAの向上を図るとともに、経営基盤の構造改革を進めながらOHRの低減を目指します。そして、企業価値最大化に向けた資本循環の加速により、成長投資を拡大しつつ、株主さまへの還元拡充も努めていきます。
資本コスト低減の観点では、マテリアリティに即したビジネス展開、ESGにかかる取り組みとあわせて、当グループの持続可能性を皆さまにご理解いただけるよう、次世代成長ドライバーの創出、IR対話を通じた情報の非対称性の緩和にも積極的に取り組んでいきます。また、不確実性が高まる時代に、リスクを適切にマネージすることで、質の高い安定的な収益構造の構築も目指していきます。
2026年5月
銀行業初、SX銘柄に選定

株主・投資家の皆さまとの対話
株主・投資家の皆さまとの建設的な対話も、CFOとして特に重視している取り組みの一つです。2026年3月期も、積極的に対話機会の拡充に努めました。機関投資家の皆さまとは、決算説明会や個別・スモールミーティングなどを通じて対話を重ねるとともに、海外IRも積極的に実施しています。また、個人投資家の皆さまに対しては、オンライン説明会や株主セミナーの開催など、リアルとデジタル双方から情報提供機会の充実を図っています。当グループへの理解を深めていただくとともに、株主・投資家の皆さまとの信頼関係の構築に努めていきます。
また、株主・投資家の皆さまからいただいた貴重なご意見は、定期的に取締役会などへ報告し、市場からの評価や期待に対する社内の理解を深めながら、経営戦略や事業運営に活かすことで、企業価値向上につなげています。
今後、新中計の実現に向けて、新たなカタチを模索しながら様々な取り組みを進めていきます。そして、その進捗や成果については、透明性の高い情報発信に努めていきます。また、株主・投資家の皆さまとの対話を通じて得られる多様な視点や知見を経営に反映し、新中計の実効性向上につなげていきたいと考えています。引き続き、忌憚のないご意見を賜りますようお願いいたします。