りそなグループ統合報告書2022

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サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の推進

持続可能な社会の実現に向けて、社会全体でサステナビリティの潮流が拡大、加速しています。

この不可逆な潮流のなかで、りそなグループが持続的に企業価値を高めていくには、当グループはもとより、当グループを支えてくださっているお客さまにも変化への適応力を備えていただくこと、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)が不可欠となっています。

この実現に向けた取り組みをグループ全体に浸透し、行動を加速させていくため、当グループではフレームワークに沿ってSX推進に取り組んでいます。

SX推進のフレームワーク

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3つのサステナビリティ長期目標の関係

2021年6月に公表した「サステナビリティ長期目標」は、それぞれを独立させて立てたものではありません。目指す姿である「お客さまとりそなのSX」に向けた直接的な目標は、お客さまとの対話を重ね、必要なソリューションをご提供していくための「リテール・トランジション・ファイナンス目標 」です。

一方、お客さまにカーボンニュートラル対応の重要性を難しさも含めてご説明、ご理解いただくには、自ら率先して難易度の高い目標を掲げ、いち早く取り組む必要があります。このために「カーボンニュートラル目標」を定めています。

また、加速する変化のなかでお客さまのSXを着実にサポートするには、次々と新たなソリューションを創造・ご提供していく必要があります。このためにりそなの強みの一つとなっている、女性の活躍にさらに磨きをかける「女性登用・活躍推進 拡大目標」を定めています。

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グループサステナビリティ基本方針(2022年3月)

これまで継続的に発展させてきたサステナビリティに対する取組姿勢や考え方について、取締役会で改めて議論を重ね、今後のサステナビリティ推進と事業のあり方などを「サステナビリティ基本方針」として2022年3月に決議しました。

同時に、これからの時代に金融機関が果たすべき人権尊重や腐敗防止についても議論を行い、サプライチェーンを含む人権尊重、腐敗防止への取組方針を「グループ人権方針」「グループ腐敗防止方針」として明確化しています。

1.
事業を通じたサステナビリティの推進

持続可能な社会の実現に向けて、当社が取り組むべき重要な環境・社会課題に対し、事業活動を通じてその解決に取り組みます。

地域に根差し、地域に支えられてきた金融機関として、お客さま、地域社会のサステナビリティ実現のために事業活動を行います。

上記を通じて、当社の企業価値向上を目指します。

2.
サステナビリティ推進に向けた経営体制の整備
経営陣はサステナビリティ推進にコミットし、適切な事業ポートフォリオの構築、サステナビリティ推進に必要な経営資源の適切な配賦、体制整備を実施します。
3.
全役職員の参画・本方針の浸透
全役職員は、本方針に基づくサステナビリティの推進に積極的に取り組みます。全役職員への本方針の周知徹底・意識醸成のための教育を行います。
4.
お取引先、サプライヤーへの働きかけ
双方向の建設的な対話を通じて、サステナビリティへの取り組みの重要性についてお取引先、サプライヤーと共有し、社会全体のサステナビリティ実現に取り組みます。
5.
社会との相互信頼づくり
法令・ルール・社会規範の遵守を通じて、すべてのステークホルダーに対して責任ある企業活動を行います。透明でわかりやすい情報開示に努め、様々なステークホルダーとの双方向の対話を通じて、社会からの期待や要請を受けとめ、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。
6.
ガバナンス
サステナビリティ推進状況を定期的かつ俯瞰的に検証、監督し、ステークホルダーに対する説明責任を果たします。

1リテール・トランジション・ファイナンス目標→お客さまとの対話を重ね、必要なソリューションをご提供

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2021年度の振り返りと今後の取り組み

初年度の実績は、グループ全体で約8,460億円、進捗率は8.4%となりました。

最終的な目標額である10兆円は、過去の同様のファイナンス実績を約1.4~1.9倍に拡大することを目指したものです。

これに対し初年度は過去の実績比で約1.4~1.7倍と、当初目指した伸び率で実績を積み上げることができました。

ファイナンス実績の内訳では、全体のうち環境課題への取り組みを支援または促進する投融資は1,980億円と、全体の4分の1を占めています。また、グリーンローン原則やサステナビリティ・リンク・ローン原則など、サステナビリティに関連する外部基準に相当するファイナンスは全体で2,870億円と、過去の実績と比べ高い伸び率を示しています。

これらの実績から、「お客さまとの対話の深化」と「ソリューションの強化」を通じ、中堅・中小企業のお客さまの意識・行動のトランジション支援に一定の進展を果たすことができたと考えています。

その一方で、まだ多くの中堅・中小企業のお客さまが具体的な行動ステージの手前にとどまっていること、その背景に様々な課題があることがわかっています。より多くのお客さまの「現在地からの着実な前進」を支援していくには、りそな自身が実例に学び、対話とソリューションの力をさらに高めていくことが必要と認識しています。

2022年度は、後述の「ESG事業性評価」や「CO2排出量簡易算出サービス」のほか、実際にお客さまのSX支援につながった対話・ソリューションのノウハウを集約、組織展開するなど、さらなる人財育成と組織力強化に取り組んでいきます。

また個人のお客さまに対する各種SX支援の強化にも取り組んでいきます。

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リテール・トランジション・ファイナンスの出発点となるのが「お客さまとの対話の深化」です。2021年度下期を通して、グループ各行で法人のお客さま向けのSXヒアリングを行い、約31,000社のお客さまとSXに向けた取組状況の共有を行いました。

その結果、中堅・中小企業においては事業規模に応じてSXの取組状況に差があることや(事業規模が小さくなるにつれて取り組みが遅い傾向)、全体の約8割のお客さまが、「社内での理解不足や意識浸透」「具体的に何をすべきかわからない」といった課題を抱えていることがわかりました。

こうした課題を伴走型で支援するため、お客さまと環境・社会課題への考え方や対応状況を共有し、次の一手を共に考え、ソリューションのご提供につなげていくことを目的とした「ESG事業性評価」の枠組みを2021年度に構築、2022年度よりグループ各行でお客さまとの対話に活用していきます。

また半数以上の中堅・中小企業のお客さまが今後CO2排出量の把握・削減に取り組みたいと考えていることを踏まえ、2022年4月より「CO2排出量簡易算出サービス」の無償提供をグループ子会社であるりそな総合研究所にて開始しました※2

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中堅・中小企業のお客さまのSX取組状況や経営資源は個社ごとに事情が異なり、様々な現在地から取り組みを支援する多様なソリューションが必要です。

昨年度は「SDGsコンサルファンド」のメニュー拡大や、ESGに関連する目標とその後の進捗状況をお客さまと共有する融資商品の取扱開始など、グループ各行でソリューションの強化を矢継ぎ早に展開しました。

また個人の分野においても、2021年度第4四半期に環境配慮型住宅向けの優遇プラン付き住宅ローンの取り扱いをグループ各行で開始しています。

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  1. ※1りそなアセットマネジメントが運用する投資信託、投資顧問
  2. ※22022年4月15日付リリース「CO2排出量簡易算出サービスの取扱開始について」ご参照
  3. ※3ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス

2カーボンニュートラル目標→自ら率先してカーボンニュートラルに取り組む

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2021年度のCO2削減実績は、速報値ベースで2013年度比△43%、前年度比では△4,293t-CO2削減となりました。

前年度からの削減は、当グループのCO2排出量の約9割が電力使用によるものであることを踏まえ、グループ各社の主要施設へ再生可能エネルギー由来の電力導入を実施したこと、電源設備の更新や照明器具のLED化などを進めたことによるものです。

2022年度も引き続き、システムセンターなど電力使用量の大きな拠点を中心に、順次再生可能エネルギー電力の導入を実施していきます。

また全社的な節電推進活動を行うことで、足元の電力価格高騰によるコスト影響の軽減を図り、夏場や冬場など電力需要が高まる時期に懸念されている需給逼迫の緩和にも取り組んでいきます。

2021年度の主な取り組み ◎ 各社主要施設に再生可能エネルギー電力を導入
  • りそなグループ大阪本社(2021年8月)
  • 埼玉りそな銀行本社(2021年6月)
  • 関西みらい銀行びわこビル(2021年6月)
  • みなと銀行本店(2021年8月)
◎ 営業車両削減、環境配慮型車両※6への切替
  • 2021年度実績(グループ全体)
    営業車両削減台数 176台
    環境配慮型車両切替台数 34台
2022年度の主な取組予定 ◎ 再生可能エネルギー電力導入拠点の拡大
  • システムセンターなど、電力使用量の大きな拠点を中心に再エネ電力の導入を拡大
◎ 全社的な節電推進
  • 拠点別の電力使用量を順次見える化するなどの取り組みを通じた、全社的な節電に対する意識向上
◎ 営業車両削減、環境配慮型車両への切替 ◎ 環境配慮型店舗の導入検討、など
  1. ※4Scope1、Scope2
  2. ※5関西みらいフィナンシャルグループ統合前の計数も遡及して計上。グループ銀行のScope1、Scope2のCO2排出量を省エネ法の定期報告書の基準に準拠して集計、営業車両の燃料使用によるCO2排出量は、年間の燃料費と公表されている全国の年間平均ガソリン単価、排出係数を用いて簡易的に計算
  3. ※6EV車、HV車、燃料電池車

3女性登用・活躍推進 拡大目標→多様性に磨きをかけ、お客さまへ新たな価値を次々と創造・ご提供

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2022年度期初時点の女性経営職階比率、女性ライン管理職比率は上記の通り上昇し、女性ライン管理職比率は10年連続で上昇しました。

りそなホールディングスの女性役員比率が前年比低下した要因は、グループ銀行を兼任していた社内女性役員がりそな銀行、埼玉りそな銀行の取締役に就任したことによるもので、りそな銀行の女性取締役比率は前年の9%から27%、埼玉りそな銀行では15%から23%へ上昇しています。また、2022年6月末時点のりそなホールディングスの女性取締役比率は、前年の20%から30%に上昇しました。

さらなる推進には、様々な職域、職位の女性社員の声を集め、中長期かつ継続的に取り組むことが重要です。

昨年度実施した社内アンケートでは、女性活躍推進はある程度組織に定着し、女性自身のキャリアアップへの意識改革も進んでいる一方、より上位職を目指すには業務経験に偏りがあること、育児支援制度はある程度整っている一方、周囲の理解や人員手当などの運用面や介護関連支援などについて改善要望がありました。

これらの意見を踏まえ、2022年度は業務経験の多様化促進や男性育児参画の推進強化、介護セミナーの拡充など、様々な施策を実施していきます。

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  1. ※7りそなホールディングス、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらいフィナンシャルグループ、関西みらい銀行、みなと銀行の合算
  2. ※8役員は6月末時点、ライン管理職、経営職階は期初時点
  3. ※9社内女性役員がりそな銀行、埼玉りそな銀行の取締役に就任したことによるもの
  4. ※10日経WOMAN企業の女性活用度調査2022

ガバナンス体制

「サステナビリティ基本方針」など、サステナビリティに関する重要な方針は取締役会が定めています。

取締役会の方針を踏まえた取組状況については、少なくとも年1回以上取締役会へ報告を行い、重要な事案については随時付議を行うことで、適切な監督が図られる体制を整えています。

社外取締役が過半数を占める取締役会では、多角的な視点から議論が行われ、その結果はグループの経営戦略やリスク管理、開示に反映されています。

より具体的なサステナビリティに関する重要事項は、りそなホールディングスの社長を委員長とし、関西みらいフィナンシャルグループ、グループ銀行の社長、経営管理部署、リスク管理部署、法人・個人の営業部門などの担当役員、りそなアセットマネジメントの社長などが出席する「グループサステナビリティ推進委員会」において一元的に推進・管理しています。

同委員会では外部の有識者より取り組みの方向性、スピード感などについて様々なご意見をいただき、経営陣の議論に反映しています。

また、グループ全体の人権啓発に関する重要事項を一元的に管理する会議体として、「グループ人権啓発委員会」を設置しています。

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取締役会への主な付議事項、ディスカッションテーマ(2021年7月~2022年6月)

  • 2021年度におけるサステナビリティへの取組結果と今後の課題対応
  • サステナビリティ関連方針の制改定
  • 2022年度計画期間におけるトップリスク(気候変動リスクをトップリスクの一つに位置づけ)
  • TCFD提言を踏まえた気候変動リスクなどへの対応状況と今後の取り組み
  • ESGをメインテーマとするSR(Shareholder Relations)対話の強化
『2021年度におけるサステナビリティへの取組結果と今後の課題対応』に対する取締役会の主な意見 ◎ 主な成果
  • 各「サステナビリティ長期目標」に対する取組進展
  • 気候変動リスク管理の高度化
  • さらなる取組高度化に向けた関連方針の制改定やESG事業性評価など、今後のサステナビリティ推進の枠組み整備、など
◎ 今後の主な課題
  • 社内の担い手の一層の意識・行動変容、2021年度に整備した枠組みの運用定着と実効性確保
  • 外部連携強化を通じた環境変化への感度向上、ソリューションの強化
  • Scope3削減目標の策定
  • 企業の存在意義の明確化、人的資本や知的財産などを財務価値に転換するプロセスの明確化、など

◎ 取締役の主な意見
  • 環境変化が長期目標策定時より加速していることを踏まえ、さらに取り組みのスピード感をあげ、状況を報告すること
  • 様々な取り組みを加速させていくためには、各社経営陣が先頭に立ってさらなる変革を牽引していくことが重要
  • 存在意義は検討段階から取締役会とよく連携すること、など

サステナビリティ評価を反映させた執行役の報酬決定プロセス

当社の取締役および執行役に対する報酬方針は、独立社外取締役のみによって構成される報酬委員会において決定しています。また執行役の報酬体系には「SDGs達成に向けた取組状況」の評価が年次インセンティブの要素として含まれており、サステナビリティ評価が執行役の報酬に反映されています。