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社外取締役メッセージ

  • 指名委員会委員・
    監査委員会委員
    佐藤 英彦
  • 指名委員会委員・
    報酬委員会委員
    岩田 喜美枝
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    「リテールNo. 1」を
    目指さなければならないし、
    目指す資格がある

    指名委員会委員・監査委員会委員

    佐藤 英彦

    「リテールNo. 1」を目指さなければならないし、目指す資格がある

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    指名委員会委員・監査委員会委員

    佐藤 英彦

    • りそなグループ統合報告書2021(2021年7月発行)の社外取締役メッセージのロングバージョンです。

    南社長が就任してから1年が経ちましたが、いかがですか。

    南社長への交代に関しては、指名委員会で約2年かけて何度も議論を重ねてきました。議論の根底には、銀行業のあり方について大きくその転換を求められていることがありました。特に預金を集めて投融資を行うという、銀行業の本業自体が変化せざるを得ないことに加え、従来、勘定系を中心に導入されていたIT技術が、銀行全体で活用しなければ成り立たない状況も生まれてきました。異業種から銀行業に参入し、銀行のあり方が問われている時代でもあり、これを乗り切っていく体制をどうつくるべきかという視点がまず一つ目として大きくありました。

    加えて、銀行部門だけでなくグループ会社も含めたホールディングスとしてのガバナンスをどのように発揮していけるかというのが二つ目でした。

    最後に、三つ目としては、関西みらいフィナンシャルグループ(KMFG)を含めていかに一体となったグループ機能を発揮していくかということ。

    新しい流れが生まれつつあることについて議長の提案や取締役の発議によって取締役会で何度も議論してきました。それを受けて指名委員会としてこれらを乗り切る体制をどうつくるかという議論を約2年にわたって続けてきたわけです。

    指名委員会委員長が取り上げた論点としては、こうした環境を乗り切るうえで、これまでホールディングスと銀行の社長を兼務していたが、果たしてそれでいいのか。両社の社長を分ける必要があるのか。すなわち、ホールディングスの取締役会が従前のままで良いかということにつながり、これらを随分議論してきました。

    りそなグループでは昔から、サクセッション・プランが非常に精緻につくられており、これに社外取締役が直接かつ深くかかわって社長あるいは取締役候補者を選定してきました。

    いま申し上げた視点や論点を踏まえて面談も重ねてきました。社長候補者については、年に2回くらい面談をしてきたと記憶しています。その結果、IT時代を考えると、オムニ・チャネル戦略を推進し、相対的にITの知見も広く、深く持っている南さんがホールディングスの社長に適任であろうと判断しました。

    今日、南社長が就任して以降、我々が考えてきたことを踏まえた運営が行われ、期待通りの状況にあると思います。南社長の能力や個性と銀行の社長を担う人たちの積極姿勢により、両者の協力関係が想定以上に上手くいっていると評価しています。

    ホールディングスと銀行とは、具体的にはどのような棲み分けができているのでしょうか。

    ホールディングスと銀行との関係は、基本的には従前と変わりません。ただし、KMFGが入ってきたことにより、りそな銀行に傾斜していたウエイトを、埼玉りそな銀行も含めて銀行部門でどのようなウエイトを置くべきかの議論を行っています。また、銀行でない子会社に対する見方、あるいは関心の度合いも大きく変わりつつあります。

    例えば、「りそなアセットマネジメント」を設立し、りそなの強みである信託分野で「ファンドラップ」が新たに開発されるなど、前述の状況に立ち向かっていくためには、アセットマネジメントの力は非常に大きいものがあります。大きく環境が変化している決済分野では、「りそなカード」の重要性も高まっていくことでしょう。このように、銀行以外のグループ会社の役割が一段と重要になってくると思います。

    昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で、トップマネジメントに必要な資質に何か変化がありますか。

    資質という面で特段変化はありませんが、リーダーのあり方、姿勢については変化を感じています。非常に苦しい状況にあるお客さまをこれまで以上に支援していくという姿勢を強めつつ、銀行としても苦しい経営状態をどう乗り切っていくかというときに、経営者が弱気になるのか、あるいは決意を強くして敢然とこれを乗り切る姿勢を全社員に示し、堅持するのかです。

    りそなの経営陣は、そうした乗り切る姿勢を明確に打ち出しています。世の中から見たときに、銀行は業績がいいときには支援してくれるけれども、悪くなると支援を続けてくれないという不満を抱かざるを得ないことがあったかと思いますが、コロナ禍においてそうしたことを感じさせない経営方針を毅然と示していると思います。

    トップを支え育てていく、りそなのガバナンスにはどのような特徴がありますか。

    国内の銀行はいくつかの合併を重ねて今日に至っていますが、私がこれまで経験してきた企業と比較しても、りそなは意外なほど、合併前の出身銀行の色合いが感じられません。私が着任した6年前もそのように思いましたが、今日、サクセッション・プランで役員との面談を度々重ねる過程でも、合併にありがちな旧行の色彩を引きずることが非常に薄いと感じています。

    その理由の一つには「りそなショック」があるのでしょう、ホールディングスだけでなく、銀行の役員も同じフロアで職務にあたるように、役員の一体感を失わない配慮が都度行われてきたことがあると思います。とにかく一つにまとまっていこうという求心力が非常に強く、それを踏まえたガバナンスが行われてきた印象があります。

    銀行界で一番早かったと思いますが、指名委員会等設置会社として、社外取締役を中心とした取締役会運営、委員会における議論が重みを持つ組織体になった結果、社外取締役に対する期待が明確にあると感じています。サクセッション・プランに見られるように、年に何度も役員候補者と社外取締役が面談する過程が、合併前の銀行の色合いを薄めることにつながり、公平な人事に役立っていると思います。

    また、従業員の意識に対する関心も深く、意識調査の結果を踏まえて業務施策や組織運営を行っていくという姿勢が明確にあります。役員相互、社外取締役とのかかわり、従業員とのコミュニケーションを活かしてガバナンスを行っているところが特徴的です。

    佐藤取締役は、ご自身が培ってきた経験やスキルをどのように活かしていますか。

    銀行も警察と同様に、全国レベルで動かす組織体であるという点が共通点であることから、そのような組織が持つ属性に着目した意見を申し上げるようにしています。地域によって県民性が違いますから、例えば、指示を出すときに、その指示を受ける側がどう受け止めるか等、組織を動かす際に陥りがちなことについて特に留意しております。上がってくる報告が、必ずしもストレートな内容となっていないことも組織にありがちなことなので、組織全体もしくは各組織の実態をどのように捉えているかに関心を払いながら、取締役会で報告を聞き、意見を述べています。

    私が現職のとき、「組織がどう動くか」という想像力を指導者は持たなければならないという意味で「動察」、動きを察するという私の造語ですが、これをもって指示を出していました。現在も、「動察」をもって会社の動きを見るようにしています。

    私のいた警察組織では、突発的に発生する事件に対応することが常態でした。銀行でも日々様々なことが起きますが、それが起きた時に何が大事であるか、何に注意しなければいけないか、初動の時点で経営陣がどう動くべきなのかに関心を払いながら、事案について報告を受け、自分の意見を申し上げています。

    また、警察組織では労働組合のような職員の組織的基盤がないため、職員に対して十分に思いを巡らせねばならないという教育を受けてきたこともあり、りそなが従業員意識調査の結果を重視しているということに大変賛同しましたが、より深く意識を分析し、その結果についても従業員にフィードバックする、さらには従業員の期待、要望に具体的に応えていくことを強く求めてきました。

    私は捜査一課・捜査二課等の捜査部門で大半を過ごし、会社の事件にも随分関与してきました。会社で起きる事件は経営者に問題があるケースが少なくありません。したがって、社長ないしはそれに準ずる人たちのコンプライアンスが大事になります。従業員にコンプライアンスの遵守を求めるならば、まずは経営幹部が実行しなければならないと強く感じていますので、社長をはじめ、皆さんに折に触れて申し上げています。

    これに関連して申せば、内部通報制度が非常に大事であると痛感しています。重要な事件の発覚はほとんどが、その組織内部からの通報によるものです。内部からの通報がその組織の中で受け止められていれば、警察や検察あるいはマスコミに情報がいく必要がなかったと思います。組織のなかで内部の意見に応えられていない現状があるわけです。りそなにおいても、内部通報制度に対する社員の信頼がどの程度あるのか、私はまだ十分だと思っていませんが、これについて状況をチェックするように心掛けています。

    「動察」は、取締役会にとっても非常に重要な機能ではないかと思いますが、取締役会がそのような機能を発揮していくにはどうすればよいとお考えですか。

    りそなは指名委員会等設置会社であり、委員会に分かれて議論することができる体制ですから、取締役会のみならず、各委員会の果たすべき役割が大きいのではないかと思います。
    中でも特に、監査委員会がそうであるべきだと思います。監査委員会では年2回、ホールディングスの社長や各子会社の社長と意見交換をし、あるいは各担当執行役からの報告も頻繁に受けていますので、ここで「動察」していきます。監査委員会の内容については、委員長が取締役会に詳しく報告していますので、報告の内容を踏まえて取締役会で意見を交わすことができます。

    サクセッション・プランについて何回かお話に出てきましたが、ご自身としてはどのように次世代の経営者を選び抜いていますか。

    各役員候補者あるいは役員の能力というのは、実は社長が一番把握していると思います。我々は業務を執行していないため、その能力について推測できても、正しいところはなかなか理解できないのが実際だろうと思います。そこで私は、その人の能力については社長から情報を得て、それを踏まえて質問をすることによって、自分の推測と照らし合わせていきます。もっぱら見ているのは人柄というか、社長にとって避けることができない孤独に耐える資質があるか、それでいて部下からの意見を十分に聞き取る度量があるか、といった「人となり」です。おそらく社外取締役それぞれに違うと思います。違うからいいと思うのです。その面談が終わった後、指名委員会で意見交換します。こうしたプロセスが、正当でない人選をしない安全弁になっていると思います。

    コロナ禍で不透明さが増すなか、どのような課題に取り組んでいくべきでしょうか。

    銀行業界は、かつての護送船団方式を脱却したとはいえ、私の見るところ、まだまだ横並び意識が色濃く残っていると感じています。コロナ禍で、日本の経済全体が苦しい状況にあるなか、銀行はどうしていくべきかについては、横並びではやっていけない、また横並びでやっていくべきではないと考えています。各銀行の特性や特徴を十分活かし、勇気をもって切り拓いていく経営ができているか、組織をあげて取り組んでいるかどうかということではないでしょうか。

    例えば、りそな銀行における2020年7月の組織改正では成長戦略室を設置し、お客さまに対する支援を強力に推し進めていますが、それを怖々取り組むのではなくて、敢然と支え抜く姿勢で行ってほしいと思います。個人、個人事業主、企業の皆さまを本当に支えていくために、そうした経営をこれからも行い続けられるかどうかがポイントだと思います。

    KMFGの完全子会社について、このような転換期にはどのようなことが重要だとお考えですか。

    KMFGについては、経緯はいろいろありましたが、苦しい状態にある地銀との連携を深めていくという意味において、いま起きつつある銀行業界の大きな方向をいい形で先取ったという見方ができます。これは、取締役会でも何度も議論となりましたが、やはり東京と関西という違いがありますし、文化や経済実態の違い、会社の性格の違いもあるので、経営統合したとしても、地域的、経済的、ないしは文化的特性を活かす統合をすべきで、それらを損なうことがあってはならないという意見が随分出ました。経営形態、組織形態を変えていこう、経営統合していこうというときは、これらが非常に大事な要素になります。こうした姿勢で臨んできたからこそ、合併を重ねてきたりそなが、旧行意識を引きずっていないのでしょう。そうでなければ、統合の実は上がらないと思います。お互いを活かしきる姿勢が大事なのです。今回のKMFGについても、我々が当初抱いた懸念は、今はほとんど感じられません。

    取締役会でも、かなり議論がありましたか。

    先程、申し上げたことに加えて、KMFGの経費率(OHR)が高いという点は否定できませんので、どの程度の比率が最適なのか、どのように合理化していくかが一つの論点としてありました。

    もう一つは、せっかく統合するのであるから、りそなが持っているリソース、例えば信託機能や「ファンドラップ」、あるいは「グループアプリ」といった、他の地銀にはない機能をグループ一体で取り組み、積極的に活かしてほしいという点です。関西みらい銀行、みなと銀行が、これらを最大限に活用することができるように、ホールディングスとしても最大限の支援をしていくことについて議論が大いに交わされました。

    これからの取締役会はどのようにあるべきでしょうか。また、ご自身はどのように貢献していきたいとお考えですか。

    いま、取締役会のあり方について活発な議論が行われています。私は、会社の歴史も違えば、業態、規模、企業を構成している人も違うため、コーポレートガバナンスはやはり百社百様で、その企業に適した取締役会のあり方があるはずだと考えています。一律に取締役会はかくあるべしということでは必ずしもないと思います。その企業独自の取締役会のあり方というものがあるはずで、それを実現していくべきだと思います。りそなグループには、りそな銀行という一番大きなウエイトの銀行があり、これに埼玉りそな銀行、KMFGという両翼があって、銀行以外のグループ子会社が成長し、大きな力を持つべき状態になってきました。こうしたなか、ホールディングスの取締役会としてどのように機能していくかを、考えていくべきと思います。

    取締役会が上手く機能する、その鍵を握るのはどのようなことだとお考えですか。

    いろいろな要素がありますが、取締役会議長の機能が大きく関わってきます。議長には、議案の選定や議事運営を的確に行う役割があり、その役割を果たしている限り、取締役会は十分に機能していきます。

    現状、取締役会の議事運営は適正に行われていると思います。したがって、取締役会議長は社外取締役であるべきという意見もありますが、執行役を兼務しない会長が議長を務め、有効に機能しています。仮に機能しないということになれば、その時点で、社外取締役も含めて誰が議長に適任かという議論はあって然るべきです。組織的な問題として取締役会が有効に機能する要素はそれが最大でしょう。

    最後に、読者の方々へのメッセージをお願いいたします。

    私の持論になりますが、大きく二つのことを申し上げたいと思います。

    一つは、りそなはリテールNo. 1を目指すという旗を掲げています。これは大変正しい方向だと思いますし、この方向性の正しさと、それを成し遂げることができる銀行であるという自信と誇りを持っています。役職員が共通の想いを抱いて取り組んでいく、その姿勢ある限り、国民のための銀行としてあり続けていくと思います。

    いま、多くの銀行がどうなっているかというと、地方銀行はそれぞれの地方に力点を置いてやっています。メガバンクは海外に大きな足場を求めて経営をしています。りそなは日本に軸足を置きながら、地方銀行と異なり、日本国内で広範囲なサービスを提供する、その意味で唯一の国民銀行なのだと思います。そのような銀行だからこそ、リテールNo. 1を目指さなければならないですし、目指すべきだと思います。

    もう一つが、りそなは中期経営計画で「お客さまのこまりごとに応える」を掲げ、近江商人の三方よしというか、三方一両得にも通ずる、お客さま、あるいはその地域、従業員、株主といったステークホルダーの皆さんがそれぞれ利を得るような経営を目指していることです。りそなグループは埼玉県に大きな地盤を持っていますが、いま話題の、埼玉出身の渋沢栄一が掲げた「道徳経済合一説」に流れる考えと同じだと思います。まさにお客さまのこまりごとに応える銀行として苦しい時に支えきるのだという姿勢でお客さまに取り組んでいく銀行であることをご理解いただきたいと思います。以前は、銀行に対して冷たいという意識をお持ちの方もいらっしゃったかと思いますが、本当にあたたかい、温もりを感じられる銀行が生まれようとしています。

    社外取締役として関わりを持たせていただき、大変やりがいを感じています。社外の我々がやりがいを感じるようでなければ、お客さまにりそなの価値を感じていただけないと思っています。ぜひ、いま申し上げた二つについて理解を深めていただければ幸いです。

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    ESGの先進性に、
    さらに磨きをかけてほしい

    指名委員会委員・報酬委員会委員

    岩田 喜美枝

    ESGの先進性に、さらに磨きをかけてほしい

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    指名委員会委員・報酬委員会委員

    岩田 喜美枝

    • りそなグループ統合報告書2021(2021年7月発行)の社外取締役メッセージのロングバージョンです。

    南社長が就任してから1年が経ちましたが、いかがですか。

    基本的には、東さんの経営方針を引き継いでいると思います。違ってきていることが二つあります。一つは言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大という問題で、南社長はコロナ感染にどのような緊急対応が必要か、あるいはコロナの感染状況下においてもどのようにして中期経営計画をしっかり達成するかなど、アフターコロナも念頭に置きながら、ウィズコロナの経営を行っています。これは前の社長時代にはなかったことです。

    もう一つの特徴は、デジタル化の推進、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXの推進は、いま金融業界にとって本当に大きな課題で、これを上手く推進できるかどうかに生き残りがかかっています。南社長は社長に就任される以前から、社内で先頭に立ってデジタル化を推進し、デジタル化によってバックヤードも含めて既存業務をどのように構造改革していくか、デジタルを駆使してお客さまに新しい価値をどのように提供していくかに取り組んできました。コストの削減、トップラインの伸長という両面においてデジタルは非常に重要で、その双方を担当してきました。個人的にもデジタルに強いのだと思います。社長に就任されてからも自らが先頭に立っていることがよく分かります。特にこれまで手がけてこなかった、金融業界ではない業界も交えた新事業開発という、クロス・ファンクショナル・チームを社内でいくつか立ち上げ、南社長が一生懸命引っ張っています。

    従来の事業の継承だけでしたら、それを担えるトップは何人もいますが、新たな改革、特にデジタル化を軸とした大改革を推進するとなると、私たちは南さんに託したいと判断したわけです。

    りそなのガバナンスの特徴をどのようにご覧になっていますか。

    私自身、りそなのガバナンスは非常に高いレベルにあると思います。資生堂での企業経営の経験を活かし、その後いくつかの会社で社外取締役などを務めてきました。いずれも、ガバナンスについて先進的な企業だと思いますが、そのなかにあっても、りそなのガバナンスのレベルは非常に高いといえます。それは、2003年に公的資金の注入があり、どのようにグループを再建するかという重大な局面を迎え、ガバナンスも思い切って先進的な形に切り替えたことによるものです。それから十数年を経て、私がりそなにかかわった時には、新たなガバナンスがしっかり定着していました。

    私がこれまで関わってきた会社はすべて取締役会設置会社ですので、指名委員会等設置会社はりそなが初めてでした。指名委員会等設置会社のガバナンスはどうなのだろうかと興味津々で入らせていただきましたが、入って最初に感じたのは、監督と執行がしっかり分離しており、社外取締役が過半数を占める取締役会が監督、モニタリングに徹する形がしっかりとできあがっていたことです。取締役会の下に3つの委員会があり、私が属したのが指名委員会と報酬委員会です。指名委員会では、形式的ではなく一から議論し、経営陣をどのように育成するか、そのなかから誰を登用するかについて、この指名委員会が中心になって決めていく形になっています。報酬委員会でも、役員の報酬体系をどうするのか、水準はどうするのかについて一から議論を行っており、指名委員会等設置会社のガバナンスが本当に定着していると感じました。

    また、指名委員会は想定以上に時間を取られます。例えば、役員向けの様々な研修へ参加する、役員や役員候補者から選抜して面談するなど、社外取締役に対して、役員の育成や選抜のプロセスに深く関わることが非常に強く期待されています。土日を使うことも年に何度かあります。

    まだまだ改善できる余地はあるかもしれませんが、基本的には高いレベルのガバナンスを維持しています。

    自身の経験、スキルをどのように活かしていますか。

    資生堂で10年近く会社経営をしてきましたが、その前は長く行政に携わっていました。一つ胸を張って言えることは、独立社外取締役として執行側と信頼関係を築いたうえで良い緊張関係をつくり、自分の価値観やこれまで経験し、それを通じて身につけた知識に基づいて、これはおかしい、こちらの方がもっといいなど、誰におもねることなくしっかりと意見を申し上げていることです。私が資生堂などで経験を積んだ領域は主として人材戦略と、当時はCSR、今はESGなどと言い方が変わってきた分野です。

    人事戦略の分野、特に女性の活躍などダイバーシティの推進や、長時間労働対策など働き方改革といったところは経験を積んできましたので、積極的に発言させていただいています。

    ESGの分野も、本気で社会的な課題に向き合えばビジネスチャンスにすることもでき、社会とともに成長する関係がつくれるというのが私の信念ですので、そのような視点から助言しています。

    りそなは、例えば女性の活躍や働き方改革など、いま申し上げたESG分野で非常に進んでいます。金融業界に限らず、日本の産業界でトップクラスの一つであり、頑張っておられる担当の方と意見を交換し、もっと良くできるのではないかと意見を戦わせることに非常にやりがいを感じます。

    りそなのESGは、どのような点が違うのでしょうか。

    これも、りそなショックに遡るのではないでしょうか。最近のりそなは、外部から様々な賞をいただいたり、ランキングで高いナンバーをいただいたりしています。なぜそれができているのかというと、企業文化、企業風土になっているからではないかと思います。大切なステークホルダーが抱えている課題解決にどのようにお役に立つかが、りそなの経営理念、りそなWAY、それからいま走っている中期経営計画にしっかりビルトインされています。事業計画は事業計画、ESGはESGといった感じの会社が少なくないだけに、りそなはそれが融合できていると思います。特に、りそなが大事にしている「お客さまの喜びがりそなの喜び」というキャッチフレーズは本当に素晴らしく、多くの役職員が“自分事化”し、日々仕事に取り組んでいます。企業文化、企業風土になっていることが、ESGにおけるりそなの強みではないでしょうか。

    DXで経済が変わり、社会においてもニューノーマルといわれるなか、金融機関が果たすべき役割をどのようにお考えですか。

    お客さまである企業や個人の皆さまと一緒にこのESGを進めていくことが、いま金融業界に期待されていることの一つだと思います。特に、地球環境問題がそうです。りそなグループが事業活動による環境負荷を低減させ、いかに早くゼロエミッションを達成するかはもう当たり前のことで、それだけではなく、特にりそなが得意とする中堅・中小企業のお客さまの環境活動への取り組みを、融資・出資・コンサルティングを通じてどのように支援していくのか。りそなの特徴ある取り組みをもっともっと磨いて進めていかなければいけないと思っています。

    りそなのダイバーシティについてお考えをお聞かせください。

    りそな銀行、埼玉りそな銀行は、女性活躍、ダイバーシティというテーマで、日本のトップクラスの企業です。2行ともこの分野、女性社員の活躍で政府から表彰されました。これも、公的資金の注入に大きなきっかけがありました。再建の切り札の一つが、女性社員にもっと活躍してもらうことだったからです。りそなにとって幸運だったのは、りそなショックで着手が早かったことです。いま多くの企業では20代、30代の社員は育ってきていますが、管理職は少ないという悩みを抱えています。特にこの2つの銀行では取り組みが早かったため、女性管理職比率も3割を超えています。

    それでもダイバーシティへの取り組みは、まだまだ途上です。例えば、関西みらいフィナンシャルグループの関西みらい銀行とみなと銀行は、現状ではりそな銀行、埼玉りそな銀行との間に差があります。また、銀行以外のグループ会社も含めてグループとして全体の底上げを行ってほしいですね。

    もう一つは、りそな銀行、埼玉りそな銀行といえどもまだまだ途上で、管理職は増えていますが、役員がほとんど育っていない現状があります。取締役会を見ても、私も含めて社外の女性が取締役で招聘されていますが、生え抜きの女性取締役が出てきていません。執行役、執行役員レベルに女性がまだ非常に少ないということです。管理職レベルにとどまっている女性活躍を、どのようにして役員レベルに引き上げていくか、ここがりそなの次の大きなステップと考えています。難しいことを言ってはいるのですが、りそな銀行、埼玉りそな銀行に早く実現してほしいです。

    こうすれば良いというような、方法論はございますか。

    男性女性に限らず、一つはしっかりと経験を積ませることです。人の能力、キャリアをつくるのは十中八九、どれほどの経験を積んだかによります。いまの仕事を丁寧にしっかりこなしているだけではダメで、その人がそれまで手がけてこなかった、少し新しい領域を経験してみる、よりハードルの高い仕事を任せるなど、意識的に難易度が高い仕事にチャレンジしてもらう、そういう人事をしていかなければなりません。

    もう一つは、思い切って若手を抜擢するということでしょうか。年齢に関係なく、男女ももちろん関係なく、これはと思う人財を早め早めにステップアップさせ、若いうちから全社経営の経験をさせるのです。若手では女性の層が厚いので、若手を抜擢すると結果的に女性比率が上がります。いずれにしても、一朝一夕にはいかない、少し辛抱しないといけないところもあります。

    今回のKMFGの完全子会社について、取締役会でどのような議論がありましたか。

    私がりそなに着任したとき、まだKMFGは当社にとって完全子会社ではありませんでした。ホールディングスから見ると、KMFGはりそな銀行、埼玉りそな銀行と比べて距離が遠いと感じていました。例えば、取締役会の資料でも、りそな銀行と埼玉りそな銀行の情報は必ず入っていますが、関西みらい銀行とみなと銀行の情報はなかったり、情報のレベルが違っていたりしました。取締役会でも何度か、KMFGの情報がなぜ入っていないのか、りそな銀行・埼玉りそな銀行と同じフォーマットで出してほしいと述べて、他の取締役も含めて議論になりました。

    振り返ると、KMFGを完全子会社化することについての反対意見は全くなく、完全子会社化することで、どのような統合効果をどの程度のスピードで出せるか、という点に議論は集中していました。一つは、統合効果を発揮するための基盤としてITシステムをできるだけ早期に統合する必要があり、順調ではあるものの、みなと銀行はこれからという状況のなかで、これをいかに早く統合するか、それからもう一つは、りそな銀行、埼玉りそな銀行が開発した金融商品を取り扱うことは可能か、信託業務はどうするのかなど、サービスの平準化、金融サービスの底上げといった2つの議論がありました。

    コスト削減という観点では、店舗をどのように統廃合できるか、人員の配置をどのように効率化できるかなどについて何度も議論しました。当初の予定より、またさらに高い目標を掲げて、統合効果を出そうと努力しているところです。

    このような合理化だけでなく、人財活用の観点から、銀行を跨いだ人財の配置転換を行い、これまでと異なる銀行で経験を積んでもらうという取り組みも、役員レベルも含めて活発に行っています。今後の役員の育成・評価も、可能な限り4つの銀行が一体となって行っていく方向で進んでいます。

    このように、統合効果をいかに高めるかについては、すでに多くが着手され、効果が出はじめています。

    進捗についてはスピード感も含め、どのように評価されていますか。

    システムの統廃合など、もっと早くできたらいいと思うこともありますが、一方でシステムを使わなくても統合効果を実現できる方法があるのではないか、といったような議論もしています。コロナ禍を一つのきっかけに、KMFGとの統合効果の発揮を当初考えていたより前倒しすることで、コロナ影響と相殺できないかという発想で頑張っていただいていますので、着実に進んでいるのではないかと思います。

    これからの取締役会については、どのような課題がありますか。

    毎年、取締役会の実効性評価を通じて課題を見つけ、その課題を解決する作業を繰り返し、レベルを上げるよう努力しています。

    それでは何が課題かというと、一つは取締役会の構成です。もう一つは、取締役会で何を議論するかということです。りそなの場合、1回の取締役会は3時間程度ですが、限られた時間でアジェンダセッティングをどうするか、何を優先して議論するかという、取締役会の構成とアジェンダセッティングの問題です。

    取締役会の構成は、常に議論していかなければなりません。経営環境、経営課題が変わるなか、どのようなバックグラウンドの人に入っていただくのがりそなにとって良いかを常に検討し、望ましい取締役会のあり方を描きつつ、退任される方の時期も見計らって、理想的な構成に近づけていきます。ホールディングスはいま、それができ始めています。

    アジェンダセッティングでは、執行のモニタリングに加え、りそなグループが長期的にどちらに進んでいくのか、グループ全体最適を考えた経営戦略はどうあるべきかといった観点からの大きな議論です。個々の事業は各社が頑張っていただければ良いのです。経営の大きな方向性の議論については、まだ取締役会にあげるほど熟していない議題についても、取締役会終了後に意見交換する時間を設けています。長い目、高い目線で議論すべきです。

    最後に読者の皆さまへのメッセージをお願いします。

    統合報告書は、財務情報だけでなくて、ESG情報も統合的に盛り込み、りそなグループが何を考えているのか、何が強みなのかについて理解を深めていただきたいと考え、作成しています。

    エンゲージメントによって、投資家とりそな経営陣がしっかり議論する機会が増えました。エンゲージメントは単なる対話ではなく、どのように企業価値を高めていくかについてお互いに知を出し合う場です。このエンゲージメントの素材に、統合報告書をぜひ活用いただきたいと思います。