資産形成サポート機能強化に向けた取り組み
りそなグループの取り組みについて
2023年5月、りそなグループは創業以来経営の根底に流れる想いを「パーパス」(金融+で、未来をプラスに。)・「長期ビジョン」(リテールNo.1 ~お客さま・地域社会にもっとも支持され、ともに未来へ歩み続けるソリューショングループ~)として制定しました。
こうした理念のもと、当グループでは、人生100年時代において、より多くの人の資産形成を促し、経済的な備えをサポートすることが、お客さま・地域社会にとっての未来をプラスにすることに直結するとの認識に立ち、資産形成サポートビジネス・企業年金ビジネスを経営戦略上の注力分野として位置付けています。60年を超える年金運用で培ったノウハウを活かした良質なソリューションを広くお客さまに提供していく上では、適切なガバナンスのもと、真にお客さまの最善の利益を考えた業務運営を行うとともに、資産運用力を不断に磨いていく取り組みがグループの経営戦略上も欠かせない重要なピースだと考えています。
家計の安定的な資産形成をサポートしていく上では、わが国経済の活性化による成長の果実が資産所得として広く家計に還元され、それが更なる投資や消費につながっていく「インベストメントチェーン」全体に貢献していくことが重要であると考えており、「パーパス」で掲げる「社会がどのように変わっても、たくさんの安心や希望に満ち溢れた、ワクワクする未来」の実現に向け、りそなグループの総力を結集してまいります。
取り組みプランの全体像
りそなグループは、個人1,600万、法人50万のお客さま基盤とフルラインの信託機能に加え、資産運用会社を有する金融サービスグループとして、リテールNO.1を目指し、お客さまや地域社会にとっての「未来をプラス」に貢献します。
ToBe像(2025年3月現在)
- ※資産形成サポート商品:投資信託・保険・ファンドラップ
資産運用ビジネスを通じた提供価値の拡大について
資産運用力の高度化に向けて
当社グループの資産運用会社であるりそなアセットマネジメントの「ガバナンスの高度化に向けた取り組み」や「人財育成の取り組み」を中心として、資産運用力の高度化に向けた取り組みを推進
りそなグループでは従来から、運用会社はガバナンスや人事制度も含め独立すべきとの考えのもとで、持株会社りそなホールディングスの100%子会社として2015年8月に設立されたグループの資産運用会社であるりそなアセットマネジメントを中心に運用力の高度化に向けた取り組みを進めてまいりました。
「運用体制強化・人財育成の取り組み」 「プロダクトガバナンスの深化に向けた取り組み」「長期分散投資を中心とした資産運用の情報発信・金融教育」を重点項目として、資産運用業のさらなる高度化に向けた取り組みを推進し、お客さまに安心して選んでいただける運用会社を目指します。また、りそなグループとしては、資本の本格活用フェーズに入っており、インオーガニック戦略を通じた運用の多様化も検討して参ります。
りそなアセットマネジメントの主な取り組み
【これまでの取り組み】
- 外部コンサルを入れた運用パフォーマンス評価と、評価に連動したインセンティブ制度を構築(2008年4月~)
- IT技術を用いた効率性と生産性の向上を目指し、老朽化したIT物理環境のモダナイゼーション等、サイロ化データの整理・集約とデータ統制を実施(2023年4月~)
- 運用者の能力底上げを図るため運用者選抜プログラムを整備(2024年4月~)
- プロダクトガバナンスに関する取組方針策定、ファンド評価レポートの開示(2024年6月~)
【今後の取り組み】
- 運用体制強化・人財育成の取り組みを通じた資産運用力の高度化
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- 高パフォーマンス人財の獲得とリテンションを目的とした人財投資の拡充と育成プランの構築
- パフォーマンス向上に向けたプロダクトガバナンスの深化
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- プロダクトガバナンスを通じた運用パフォーマンスの改善・向上の枠組みの構築を検討
- 長期分散投資を中心とした資産運用の情報発信・金融教育
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- 研修プログラムのブラッシュアップとセミナーや学校への講師派遣継続実施
運用体制・人財
運用に注力できる体制を整備(2025年3月末現在)
運用関連部門:133名(全社員の約66%)
- ※1前身となる大和銀行、あさひ信託銀行、大和銀信託銀行、りそな信託銀行含む
- ※2りそな銀行が年金向けに提供する商品を含む
アセットオーナーの機能発揮に向けて
60年を超える企業年金業務で培った制度設計・管理、資産運用・管理のノウハウを有するという強みを活かし、 企業年金の実施事業主さま・加入者さまへのサポート体制拡充や、退職後も含めた加入者さま・個人のお客さまへのトータルサポートに注力
りそなグループは、60年を超える企業年金業務で培った制度設計・制度管理・資産運用・資産管理のノウハウや信託併営リテール商業銀行の強みを活かして、アセットオーナーである確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)実施事業主さまの専門性・運用力向上に向けた取り組みに加え、企業年金の裾野拡大、企業年金の加入者さまに向けた啓蒙活動等にも注力しています。
今後もグループ銀行が共に、大企業から中小企業まで幅広い企業のお客さまを対象に、運用商品・制度運営サービスをご提供するとともに、制度導入のご提案、制度・運用支援、コンサルティング活動等を通じ、企業年金の導入、安定的な運営と運用力向上への支援に取り組んでまいります。また、お客さまへの個別案内・セミナー・WEB・書籍等、あらゆるツール・コンテンツを活用し、実施企業事業主さま・加入者さまに対する情報提供の充実を進めてまいります。
グループ銀行の主な取り組み
- 1.年金制度コンサル・サポート
アセットオーナーである中小企業を中心とした、確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)実施事業主さまの制度設計・制度運営や、専門性・運用力向上を支援 -
- 大企業から中小企業まであまねく企業年金ソリューションを提供
- オルタナティブ等の拡充(優良運用者の発掘等を目的とした自己勘定投資の検討)・汎用化・小口化など、年金資産運用に資するプロダクトを開発
- 2.資産形成トータルアドバイス
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- 各種セミナーやWEBサイト等を活用し、資産運用知識・商品情報・法令改正情報等を提供
- 3.国内最大のチャネル網
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- あらゆるチャネルを活用し、企業年金加入者さまや退職後も含めた個人のお客さまの資産形成・運用を支援
【加入者向けサービス例】
- かしこい受け取り方セミナー
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- 年金の受け取り方法毎の違いやライフプランに応じた選び方等を、ケーススタディを踏まえご案内
- マルチライフプランセミナー
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- 「企業と従業員のエンゲージメント向上」「従業員の資産形成への意識付け・マインド向上」を目的に企業年金実施事業主さまと協同で開催
お客さまの安定的な資産形成に軸足を置いた商品・サービス提供に向けて
商品導入プロセス、販売現場のインセンティブ体系等の体制整備や、コンサルティング力向上に資する研修機会の拡充等を通じて、お客さまの安定的な資産形成に軸足を置いた商品・サービス提供を実現
日本の個人金融資産は依然として過半が現金・預金で構成されており、人生100年時代において「貯蓄から投資へ」の大きな流れをつくることは私たち金融機関の重要な使命の1つです。
グループ銀行が長い歴史のなかで築き上げてきたリテールのお客さま基盤に、60年を超える企業年金業務で培った運用ノウハウを活かしたサービスを提供することで、お客さまの安定的な資産形成の実現に貢献していきます。
資産形成の必要性を感じながらも具体的な行動にどのように踏み出すべきか分からないとの声にお応えするために、2023年8月にはりそなグループアプリに目標に応じた積立方法をご提案し、購入まで一気通貫で完結できる新機能を追加しました。今後もリアル・デジタル双方を軸とした価値提供を通じて、国民の資産形成に資するリテールビジネスにグループ一体となって取り組んでまいります。
グループ銀行の主な取り組み
- お客さまの安定的な資産形成に軸足を置いた販売体制の構築
- 同一セグメント商品販売時の従業員に対する評価方法の統一
- 販売商品導入における第3者機関の評価の取り入れや、他社類似商品との比較等を通じた導入プロセスの整備
- 階層別研修等を通じたコンサルティング力の向上
りそなファンドラップ('17/2月~)
銀行のお客さまに親和性の高い商品設計
ご資産を「ふやす」だけでなく、お客さまのライフスタイル、お考えの変化に応じて資産管理機能を付加することで、お客さまの一生涯、そして次世代にわたる資産形成をサポート
インベストメント・チェーンの円滑な機能発揮に向けた取り組みについて
お客さま本位の業務運営の実践・浸透
資産形成ビジネスに留まらない、全ての事業分野における「お客さま本位の業務運営」の実践・浸透に向けて、グループ一体となって取り組みを推進
りそなグループでは「お客さまの最善の利益の追求」を「お客さまの喜びや幸せに最大の価値を置き、最適なサービスを提供する(りそなグループ行動指針)」ことと定義し、その実現に向けた取り組みとして「お客さま本位の業務運営」を位置づけています。2023年3月には取り組みの高度化等を目的として、資産形成ビジネスを中心とする「フィデューシャリー・デューティー基本方針」を改定し、全ての事業分野を対象とする「お客さま本位の業務運営方針」を制定しました。また、2023年6月にはグループ銀行において具体的な取組方針を定めた「フィデューシャリー・デューティー取組方針」を改定し、資産形成ビジネスの重要戦略について中期経営計画を軸に見直しを行いました。
お客さまからの信頼を託された者(フィデューシャリー)として高い専門性と倫理観を持ち、お客さまの喜びや幸せを最善の利益と考え、その実現に向けて誠実・公正で質の高い金融サービスを提供するという業務運営が企業文化として定着するよう、取組方針の定期的な見直しも含め、取り組みの継続的な実施を図ってまいります。
りそなアセットマネジメント・グループ銀行の主な取り組み
- りそなアセットマネジメントにて、2021年4月に社外取締役のみで構成される「ファンドガバナンス会議」を設置、商品性や運用品質の適切性を継続的に検証
- 家計の安定的な資産形成を図るために、金融商品・サービスの販売の担い手のみならず、組成・開発の担い手も含めた製販全体でお客さまへ最適な商品・サービスを提供し続けるために、実効的な管理態勢の整備等に取り組むことを明確化
- 金融商品の組成・導入後の品質管理態勢の高度化に向けて組成会社(部門)・販売会社(部門)の円滑な連携体制や経営陣の関与を強化するなど、プロダクトガバナンスの高度化に取組中
金融リテラシー向上の実現
すべての人が人生を主体的にデザインできるような金融リテラシーの向上に貢献
少子高齢化に起因する金銭的な将来不安の顕在化、若年層の金融犯罪被害の増加等の社会環境の変化に伴い、国民の金融リテラシー向上やファイナンシャル・ウェルビーイング実現に向けて金融機関が果たす役割の重要性が増してきています。
りそなグループでは小学生向けの「りそなグループ キッズマネーアカデミー」(2005年~)を始めとした金融経済教育への取り組みを業界でもいち早く行っており、同アカデミーは2024年1月時点で累計約46,000人の卒業生を輩出してきました。金融リテラシーの向上は幅広い年代におけるお客さまの生活水準の向上に留まらず、未来の地域社会・経済の発展に資する取り組みであり、地域に根差す金融サービスグループとして積極的に取り組んでまいります。
今後はコンテンツの拡充や本業を通じた情報提供等の取り組みを進め、すべての人が人生を主体的にデザインできるような金融リテラシーを身に付けるためのサポートを拡充していくとともに、お金に関する相談先にりそなグループを選んでいただくことを目指してまいります。
グループ銀行の主な取り組み
- りそなグループ キッズマネーアカデミー
- 小学生~大学生向け出張授業・寄附講座・インターンシップ
- 取引先や企業年金受託先へのセミナー・特殊詐欺防止セミナー
- SNSやYouTubeを活用した情報発信
2024年度実績(累計)
実施回数:3,912回
参加人数:55,380人
スチュワードシップ活動の促進
りそなアセットマネジメントの人財育成等を通じた、スチュワードシップ活動のいっそうの実効性向上に注力
インベストメント・チェーンの機能発揮においては、わが国企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上が欠かせません。りそなアセットマネジメントでは、賛同表明しているPRI(国連責任投資原則)や日本版スチュワードシップ・コードも踏まえ「責任投資にかかる基本方針」を制定し、運用部門の知見を結集して活動を行っています。
今後は以下の取り組みの高度化を図るとともにエンゲージメントを担う人財(特にESGを含む専門的知見を有する人財)の社内育成等を通じてスチュワードシップ活動の実効性向上を図ることで、より高いレベルでのスチュワードシップ責任を果たしてまいります。
りそなアセットマネジメントの主な取り組み
- エンゲージメントの情報共有プラットフォームを導入、サポートとなるツールを開発(「りそなESG評価」、統合報告書のAI評価など)
- 「対話・エンゲージメント方針」「対話・エンゲージメント計画」を策定することで、対話・エンゲージメントのプロセス(PDCA)を明確化
- スチュワードシップ活動を専門に行う責任投資部の体制・機能を、社内異動や外部からの採用等により強化するとともに、積極的な協働エンゲージメントにより外部からの知見獲得、リソースを活用
- 次世代を担う人財の育成の一環として、大学・大学院での責任投資に関する講座の講師を担当
- スチュワードシップ活動にかかる実効性評価に関して、自己評価とともにPRIアセスメント等の外部評価も活用してPDCAを実施し、実効性ある活動の高度化を推進
- 実効性のある議決権行使基準(政策保有株式、社外取締役、女性役員、買収防衛策に係る基準等)の策定とエンゲージメントと一体化した議決権行使を実施
企業の持続的な成長に向けて
りそなホールディングス自身の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るべく、各種取り組みを推進
りそなホールディングス自身もインベストメント・チェーンを構成する企業の1つとして、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るための取り組みを進めています。りそなホールディングスはコーポレートガバナンス・コードの全原則について実施しており、中でもPBR1倍超の市場評価の獲得に向けては、資本の有効活用等を通じて「収益性」「資産効率性」の改善にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
りそなホールディングスのPBR評価向上に向けた財務・非財務アプローチ
- 収益・コスト構造改革の加速
- 資本の本格活用
- バランスシートマネジメントの高度化
- 人的資本投資を通じたエンゲージメント向上
- 財務・非財務開示の拡充