「金融+で、未来をプラスに。」
たくさんの安心と希望、
そしてワクワクする未来のために、
私たちりそなは、
変革と創造に挑み続けます。
取締役兼代表執行役社長兼グループCEO
南 昌宏
取締役兼代表執行役社長兼グループCEO
南 昌宏
取締役兼代表執行役社長兼グループCEO
南 昌宏
―明けましておめでとうございます。
南 おめでとうございます。
―去る2023年(令和5)は、りそなグループにとって、公的資金の注入とりそな再生のスタートから20年という節目の年となりました。それを機に、いろいろと新しい方向性を打ち出しています。まず、その点について概要を教えてください。
南 昨年、りそなグループは、りそな再生のスタートから20年の節目の時を迎えました。この間、ご支援をいただいたすべての皆さま方に、改めて、心より深く御礼を申し上げます。
りそな改革を経て、2015年に公的資金を完済。その後8年をかけて資本の質的・量的拡充を進めてきました。こうした中、昨年、新中期経営計画をリリースしましたが、新中計はこれまでの「再生」のステージから、「リテールNo.1」の実現を目指すギアチェンジのための計画と位置づけています。同時に、りそなグループの根底に流れる想いを「パーパス」として制定するとともに、変わることのない「経営理念」と新たな「長期ビジョン」を併せて、グループの理念体系の再整理も行っています。
―昨年11月に発表された中間決算については、どのように総括されますか。
南 りそなホールディングスの連結当期純利益は825億円。業績目標に対する進捗率は55%。コア収益も同51%の進捗となるなど、もちろん課題はあるものの、まずまず堅調なスタートを切ることができたものと考えています。
―中間決算と同時に、グループ企業の再編も発表されました。
南 はい。今年4月、りそなホールディングスと中間持ち株会社である関西みらいフィナンシャルグループを統合し、りそなホールディングスの傘下に、四つの商業銀行が並列に並ぶシンプルなガバナンス構造・組織体制へ移行します。これは「ワンプラットフォーム・マルチリージョナル戦略」の本格展開を支えるための体制整備であり、グループガバナンスの強化、意思決定の迅速化にもつながる取り組みです。
また、今年1月、ディー・エフ・エル・リースと首都圏リースのリース会社2社を連結子会社化し、両社合併に向けた協議を本格化させます。われわれは、強みを持つバンキングビジネスに長らく経営資源を集中してきましたが、ようやく資本の活用ステージに入る中で、インオーガニック投資の第一弾として、今回の買収を決断しました。リース事業はバンキングビジネスとも親和性が高く、りそなグループの50万社のお客さま基盤を生かしながら、比較的早期にシナジー効果を発現させることが可能だと考えています。
―新たに制定された「パーパス」と「長期ビジョン」について、少し詳しく教えてください。
りそなグループの理念体系
南 昨年、「金融+で、未来をプラスに。」というパーパスを制定しましたが、これは、「何のためにわれわれは存在するのか」という、りそなグループの存在意義を示すものです。りそなグループは、リテール特化の100年を超える歴史を持つ金融グループであり、その歴史の根底にあるもの、時間が経過しても変わることのない大事なものを、改めて言語化したものです。
もう一つ、長期ビジョンとして新たに掲げたのが、「リテール№1 〜お客さま・地域社会にもっとも支持され、ともに未来へ歩み続けるソリューショングループ〜」です。こちらも、地域・リテールに軸足を置く変わることのない想いを改めて明確化しています。
新たなスタートラインに立ちましたが、ここからが本当の勝負です。
3万人の全役職員はもとより、すべてのステークホルダーの方々とグループの理念体系を共有することが次のステップです。そして、りそなグループの存在意義を「認知」し、「共鳴」することで、最終的に自分ごととして行動できる「実装」のレベルにまで進化させていくことがポイントです。
パーパスは、すべての出発点であり、そして、その実現が最終目標でもあります。パーパスに貫かれたグループ内バリューチェーンを再整備しつつ、次世代リテール金融のフロントランナーを目指してまいります。
りそなグループの理念体系
―昨年9月の、社史『りそなグループ 20年のあゆみ』発刊も大きなトピックだったと思います。
南 今回の社史は、通常の周年誌ではありません。りそな再生のスタートを起点とし、その後の20年の歩みに焦点を当てたものであり、これまでの感謝と、これからの覚悟をお伝えするために編纂したものです。さらに、あの時に一体何があったのか、なぜあのような状況に立ち至ったのか、そして再生の過程でわれわれが学んできたものは何なのか、これらを言語化して次世代に正しくつないでいくための取り組みでもあります。2003年当時に在籍していた従業員はすでに3割を切り、記憶も風化していく中で、今回が最後のチャンスだったと感じています。そして、りそなグループの全役職員が、困難に直面した時に立ち返る原点として、次世代にしっかりと引き継いでいきます。
―新中計では、デジタル投資をさらに活発化させるという方向性も示されています。
南 金融が持つ深いコンサルティングの価値は、これからも変わることはありません。そして、最後の差別化の柱はそこにあります。ただ、その前提として作り上げなければならないのは、「リアル」と「デジタル」の融合です。
日常の金融。例えば、法人のお客さまの受発注業務や、それに連なる決済や間接業務などは、今後デジタル化、データ化が加速していきます。個人分野の日常の金融(納税や振込など)も同様です。これは、もはや自然な流れです。
まずは、50万社の法人のお客さま、1600万人の個人のお客さまと100%デジタルでつながることが前提です。日常の金融をより便利な形で支え、データの本格的な利活用にもつながるものです。これが、お客さまの体験を変え、お客さまに新たな価値を提供するとともに、われわれのコスト構造改革を加速させていきます。
一方で、多様な経営課題に関するニーズ、事業や資産の次世代への円滑な移転等は、それぞれのお客さまに寄り添い、深いコンサルティングを通じた最高のソリューションを提供することが不可欠です。リアルとデジタルをともに磨き、高い次元で融合させていくことが、次世代のリテール金融を支える顧客接点の強化にもつながっていきます。
加えて、地域金融機関との連携等を通じて、りそなグループ以外のお客さまにも、われわれの商品やサービス、機能を提供できる仕組みも進化しています。API(Application Programming Interface)などを活用した金融デジタルプラットフォームです。これは、テクノロジーが進化したことで、グループ外のお客さまにも、りそなグループの商品・サービス・機能等をスピーディーに提供できる選択肢が生まれたことを意味しています。今後も、世の中の変化に対して、いち早く適応していくことで、より多くのお客さまに魅力的な金融サービスを提供していきたいと考えています。
―ということは、今後もグループ外との連携がどんどん広がっていくというイメージでしょうか。
南 地域金融機関だけではなく、異業種の方々や地公体等との連携についても積極的に検討を進めていきます。お客さまのニーズが多様化・高度化・複雑化していく中で、りそなグループが持つ発想や知見・スキルだけでは、これらを適切に、そしてタイムリーに満たすことが難しくなりつつあります。
さまざまなこまりごとを起点に、どのような連携をすることが、お客さまのニーズを満たすことになるのかを常に考えながら、戦略的な提携やエコシステムの構築を目指していきます。こうした取り組みが、グループの収益機会のさらなる拡充につながっていくものです。
―ではリアルのほうでは、今後どういった部分を強化していくか、具体的に構想はありますか。
南 端的に言えば、りそなグループの総合的なコンサルティング能力を拡充させていくことです。そして、グループの厚いお客さま基盤を生かし、コンサルティング力の質的・量的拡充を通じて、最高のソリューションの提供を目指します。
また、30年来のデフレ環境からの脱却、金融政策転換の可能性が高まる中で、われわれのビジネスの根幹である間接金融、預貸金ビジネスを改めて見つめ直し、再強化していくことも重要なアプローチです。
リテール№1の実現を目指すうえで、顧客接点における、リアルとデジタルの融合が不可欠だと申し上げました。地域にリアルチャネルとして営業店がある意味も、20年前、30年前とは変わってきています。お客さまの金融行動が変わる中で、次世代の営業店が、地域にどのような価値を提供し、貢献していくのかを含めて、リアルチャネルの進化についても、深い検討を進めていきたいと考えています。
―そうなると、人財への投資も重要になってきます。
南 いまや、人財がすべてと言っても過言ではありません。お客さまへの価値提供も、イノベーションの起点もすべて人財がキーワードです。まず採用は、これまでの新卒中心の採用から、専門性の高い領域での中途採用の比率も上昇しています。ビジネスのさらなる進化は、それを支える人財ポートフォリオの再構築と連動していきます。多様性と専門性をキーワードに、グループをあげて取り組む必要があります。また、育成についても、これまでとは異なる発想が必要です。グループ内での育成レベルの向上はもとより、金融とは異なる領域に身を置く経験や、優れた外部人財との協働などを含めて、りそなグループ全体の組織能力をどう引き上げていくのかという議論が不可欠です。世の中の変化を先取りして、お客さまに新しい価値を提供できる、そうした金融が求められる時代が近づいています。そのためにも、これまでとは異なる発想や価値観を大切にしながら、大胆な構造改革を推し進めてまいります。
いずれにしても、今回の新中計は、「稼ぐ力」の拡充と「稼ぎ方」の多様化。そして、それを支える発想や仕組み、仕掛け、業務プロセスやシステムのミスマッチの解消を目指すものです。その一つとして、グループ連結運営のさらなる強化にも取り組んで行く必要があります。なぜなら、連結ベースでみると、りそなグループが持つ厚いお客さま基盤も、優れた機能や商品・サービス・情報も、まだまだ十分に生かしきれていないからです。
われわれ自身が、サイロを超えて、広く深くつながる先に、新しい可能性があると考えています。
りそなグループの金融デジタルプラットフォーム
―最後に、りそな総研の会員に向けて、一言お願いします。
南 会員の皆さま方には、りそな総研をはじめ、りそなグループ各社が、大変お世話になっております。この場をお借りして、改めて、厚く御礼申し上げます。
おかげさまで、りそな総研の会員数は、昨年1万3000社を超えましたが、まだまだ大きな伸びしろがあると考えています。りそなグループは、お客さまへの最高のソリューションの提供を目指していきますが、その一翼を担うのがりそな総研であり、そして、りそな総研のビジネスは、会員の皆さま方と共にあります。今年も、変わらぬご支援ご鞭撻をいただければ幸いです。
結びになりますが、りそなグループは、これからも変革と創造に挑み続けます。今後のりそなグループの展開に、ご期待いただけますようお願い申し上げます。