事業環境変化に適応し、
お客さま、地域社会とともに
リテールのフロントランナーを
目指します。
取締役兼代表執行役社長兼グループCEO
南 昌宏
取締役兼代表執行役社長兼グループCEO
南 昌宏
取締役兼代表執行役社長兼グループCEO
南 昌宏
昨年は、日銀のマイナス金利政策解除が社会的にも注目されたトピックでしたが、まず、それも含めて2024年を振り返っていただけますか。
南3月19日、マイナス金利が解除され、「異次元の金融緩和」から、「緩やかな金融緩和」へと舵が切られました。
また、デフレから、緩やかなインフレを前提とする新しい世界が動き始めた一年でもありました。
こうした中、りそなグループも、二つのエンジン(双発)が両輪となって、新たな成長軌道をたどり始めています。一つは、金利のある世界が戻る中で、長らく低迷していた国内預貸金利益や市場運用を中心とする「資金利益」が回復基調にあること。そして、もう一つは、中長期的な収益構造改革を掲げて進めてきた「フィー収益」の拡充です。これは、お客さまの多様化・高度化する「こまりごと」「社会課題」を起点に、最適なソリューションの提供を目指すものです。具体的には、①コンサルティング型営業の深化や、②リアルとデジタルの融合等を通じた取り組みが着実に成果となって現れ始めています。こうした中、フィー収益については、4期連続での過去最高益の更新も視野に入りつつあります。
また、これまで、長きにわたって、資本の質的・量的拡充を図ってきたことで、オーガニック、インオーガニック両面での資本活用が可能となっています。今後は、資金利益、フィー収益、そして、資本活用という三つの柱をもって、改めて、次世代リテールのフロントランナーを目指したいと考えています。
それから、4月に関西みらいフィナンシャルグループを吸収し、傘下の関西みらい銀行、みなと銀行をりそなホールディングスの完全子会社として、りそな銀行、埼玉りそな銀行と合わせて4行並列とするグループ再編を行いました。
南基本的な考え方は、ワンプラットフォーム・マルチリージョナル戦略です。ワンプラットフォームとは、舞台裏は一つ。マルチリージョナルとは、営業には、地域特性があり、各グループ銀行の営業テイストは、それぞれ異なるものだということです。
そして、この戦略をワークさせるためには、事務・システムやデジタル、コンプライアンスなどの間接部門やバックヤードを、グループ共通のプラットフォームとすることが出発点です。昨年のグループ再編は、こうした戦略を加速させていくための重要なステップでした。
みなと銀行に関しては、1月6日にりそなグループとのシステム統合が予定されていますが、これ以外でも、DX化などのシステム改変は重要な課題だと思います。
南まず、今回のみなと銀行の事務・システム統合も、ワンプラットフォーム・マルチリージョナル戦略の一環です。本件を通じて、すべてのグループ銀行の舞台裏が一つとなり、同時に、みなと銀行のお客さまにも、ようやくりそなグループが持つ全ての商品・サービス・機能をお届けできる体制が整います。ぜひ、みなと銀行の今後の成長に、ご期待いただければと思います。
また、グループの生産性向上に向けて、ITへの先行投資を加速しています。現中計期間においては、前中計から約400億円増加となる1200億円のIT投資を計画しています。具体的には、みなと銀行の事務・システム統合に加え、信託・年金システムの再構築、住宅ローン関連システムの再構築、次期融資システム構築などが、今まさに進行しているところです。
こうしたプロセス改革等を通じて、①お客さまの顧客体験を変え、②新たな価値提供につなげるとともに、③グループの生産性の向上、そして、④収益機会のさらなる拡大を目指します。
さらに、新たな取り組みとして、「社内DX」にもチャレンジしています。インナー向け投資はもとより、既に、りそなホールディングスに専担の部署として「ワークスタイル変革室」も立ち上がっています。今後は、インフラの刷新に加え、生成AIなどの先進のテクノロジーを業務プロセスに組み込むなど、グループをあげてさらなる生産性の向上を目指します。
昨年11月に発表された中間決算については、どのように総括されますか。
南中間決算を振り返り、ポイントは大きく三点です。一つ目は、業績が堅調に推移していることです。期初業績目標に対する進捗率は69.2%。特に、トップラインは二つのエンジン(双発)が稼働することで大きく拡大しています。また、経費も計画内でコントロールされており、コア業務純益は前同比+132億円、+11.2%の増益。また、政策株売却の進展に加えて、クレジットコストも低位にとどまったことから、中間純利益については、前同比+317億円、+38.4%増益の1142億円で着地しています。
二つ目として、上期の実績を踏まえて、2025年3月期のりそなホールディングス連結の業績目標を1750億円に上方修正しています。これは当社基準の株主資本ROEで7.7%、東証基準ROEで6.3%という水準です。
三つ目は株主の皆さまへの還元拡充です。昨年の第2四半期決算の公表に合わせて、上限200億円の自社株式取得についてもリリースをさせていただきました。これにより、今期の予想総還元性向は53.3%となっています。
また、金利のある世界が戻る中で、双発によるトップラインの拡充に加えて、次世代を見据えた構造改革をさらに加速させることで、グループ企業価値の最大化を目指してまいります。
昨年7月には、りそなグループが(公社)ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)のタイトルパートナーに就任するなど、ブランディングも積極的に進めています。
南2003年以降、こうした取り組みからは距離を置いてきましたが、芸術やスポーツをサポートしていきたいという思いは、年々強くなっていました。資本面でも質的・量的強化が進む中で、一昨年、現中期経営計画の公表時に、改めて、再生から「リテールNo.1」の実現に向けたギアチェンジを宣言しました。
同時に、これまでの発想や価値観に過度にとらわれることなく、次世代リテール金融のあり方を模索していくうえで、ブランディングの見直しにも着手しましたが、こうした流れの中で出会ったのがBリーグでした。
Bリーグは、りそなグループと同じく、変革と挑戦をキーワードに、厳しい黎明期を、乗り越えてこられたことにも、強い共感を覚えました。
また、Bリーグとの協働には、大きなシナジー効果があると考えています。一つは、地域創生や地域活性化という同じ想いのもとで、Bリーグの高い戦略性とりそなグループが持つ「金融」と「金融+」の力を掛け合わせることで、新たな化学反応を起こせるものと考えています。
さらに、Bリーグのファン層は、若者や女性も多く、次世代を見据えた新たなビジネス展開に向けて、大きなアドバンテージになるものと期待しています。
そして、何よりも、Bリーグの理念に共感された多くのパートナー企業さまや自治体の方々、そしてファンの皆さんをはじめ、全てのステークホルダーとのつながりを大切にしながら、新たな価値創造を目指したいと考えています。
昨年2月には、十六フィナンシャルグループとの提携を発表し、NTTデータソフィアへの出資比率を上げるなど地域金融機関や異業種との連携を強化しました。
南地域金融機関はもとより、異業種の方々との戦略的提携にも、スピード感をもって取り組みたいと考えています。社会・産業構造が変わり、お客さまの金融行動が変化していく中で、お客さまのニーズも多様化・高度化の一途をたどっています。
だからこそ、お客さまのニーズを起点に、異業種を含めた競争力あるエコシステムを組み上げることが、変化の激しい、答えの見えにくい時代において、必要な処方箋の一つです。昨年は、りそなリースの完全子会社化、デジタルガレージとの資本業務提携、NTTデータソフィアへの出資比率の引き上げなど、次世代を見据えた連携を加速させています。
また、地域金融機関との連携については、金融デジタルプラットフォームを通じたデジタル側の連携だけではなく、信託や不動産、法人ソリューションなどのリアル側での連携にも、引き続き注力してまいります。
りそなグループアプリのダウンロード数も、年々増加しています。
南一つの節目として、1000万ダウンロード(提携地域金融機関分含む)を、昨年上期に達成しています。法人・個人いずれの分野も、日常の金融については、デジタル側へのシフトが加速していきます。一方、法人のお客さまであれば、経営戦略や事業戦略にかかわる部分、資産や事業の次世代への円滑な移転などは、金融が持つ深いコンサルティング力が不可欠な領域であり、リアルが持つ重要性は、いささかも色褪せないと考えています。つまり、次世代のリテール金融において重要なことは、リアルとデジタルが高次元で融合していくことです。
今年4月から、2025年大阪・関西万博が開催されます。りそなグループもさまざまな側面でコミットしていますが、特にどのような点に期待していますか。
南大阪、そして関西をマザーマーケットとする金融グループとして、これまで、人財面はもとより、さまざまな形でサポート体制を強化してきました。いよいよ開幕が近づくなかで、まずは円滑なスタートに向けて、さらに連携を密にしていきたいと考えています。
いずれにしても、万博は、世界が注目する大プロジェクトであり、本件を契機に新たな可能性が生まれ、大阪・関西圏の、さらなる発展につながるものと考えています。地域の皆さまや企業・地方公共団体の方々とともに、万博が成功裏に最終日を迎えられることを祈っております。
開催地以外では、なかなか盛り上がらないという声も聞こえます。
南当然ですが、開幕が近づくに連れて、さらに高い関心が寄せられると思います。そして、当初想定を上回る大きな盛り上がりをみせてくれるものと期待しています。
われわれも「大阪ヘルスケアパビリオン」において、お客さまの情報を世界に発信すべく、ブースのご用意もさせていただいております。さまざまな形で万博と一緒に盛り上がりたいと思っています。今から開幕が楽しみです。
最後に、りそな総研の会員に向けて、一言お願いします。
南りそなグループは、1万3000を超えるりそな総研の会員の皆さまをはじめ、強固なお客さま基盤に支えられています。
今年も、お客さまに寄り添い、お客さまのこまりごと、社会課題の解決に向けて全力を尽くす金融グループでありたいと考えています。そして、お客さまの未来を少しでも豊かなものとするために、これからもグループをあげて取り組んでまいります。
本年も、変わらぬご愛顧をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。